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巻頭記事

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会長職勇退  《2018年10月28日更新》

2018年10月29日 更新

北海道のみなさんと笑顔で、コートヤード・マリオット銀座東武ホテルにて。   撮影:橋渡智美(あけぼの岐阜代表) 2018/10/14北海道のみなさんと笑顔で、コートヤード・マリオット銀座東武ホテルにて。   撮影:橋渡智美(あけぼの岐阜代表) 2018/10/14あの感動の記念大会から今日で丸2週間経った。日が疾走している。誰も止められない。早くも晩秋のたたずまい、陽の光も心も薄寒い。がん患者に伴走してきたあけぼの会40年、さっきお風呂の中で口ずさんだのだが、それは「がん患者はさみしい」という言葉。そう、がん患者はさみしいのだ。それを私はわかってあげたかった。わかってあげていたと思う。やさしさを全部あげた。みなそれがわかって、あけぼの会に安泰を見つけたのではないか。
ここからは40周年記念大会での私のスピーチを紹介したい。実はこれはもともとある雑誌「ライフライン21 がんの先進医療(蕗書房)」(←クリック)最新号に掲載されたもの。スピーチが決まらなくて思案していたとき、そうだ、あの原稿だ、と前日に気が付いて、出版社に許可をもらったのだった。助かった。そして、好評だった。面白いことに聴いた人によって、それぞれ覚えている箇所が違う。印象に残ったか気に入ったか?そして、かなりのスピードで読んだのに、一つ一つ言葉を覚えていてくれたこと。これが、泣くほどうれしい。

******* 以下、当日のスピーチより*******

このたび「あけぼの会会長」の肩書きを返上することになった。丸40年、私の名前の一部になっていたこの肩書きを外すのは身の皮一枚剥ぎ取られるような、というより、体の一部をごっそり持って行かれるようでもある。さみしい。惜しい気もする。なのに、何故やめるのか。答えは簡単明瞭、「もうやることは十分やったから」だ。更に言うなら、「年齢的にもみっともない」。40年も会長を続けてきたから、人は私のことを巨人軍のように「永遠です」と見ていたのは知っている。しかし、物事には必ず終わりがある。それがいつなのか。それを自分で決めて、終わる。ここに人としての潔さがある。何事もダラダラと続ければいいというものでもないだろう。正直、遅すぎた感さえあるのだ。
思えば、40年前、厳密には41年前、37歳で乳がんの手術を受け、しこりは小さく、ごく初期と思われていたのが、調べたら腋下リンパ節に2個の転移が判明、病気は2期で当然再発率も高くなることを知って、パニックになった。情報は殆どなく、ただ単に再発すれば即、死だと思い込んだからだった。当時は医師は患者に何も説明しない、患者も医師に尋ねたりしないという暗黙の掟があり、すべてがあいまいの中で済まされていた。だから今の患者に較べると、知らないゆえの不安が大きかった。ある意味、患者は知る必要はなく、医師にお任せで、楽な一面もあった。今はと言うと、患者は知りたくないでは済まされない、知って、選んで、決めるところまでしなければならない時代だ。
日本の乳がん患者が「自己決定」という世界的な流れの中に、ただぽんと落とされて、果たして対応できるのか?私は出来ないと思っていた。自分の意思で物事を決めるのに慣れてなかったからだ。自分の考えより、他の人はどうしているか、周りを見回して、みながしてるようにするのが安心、これが日本的な決め方だった。それが驚いたことに日本女性が見事に変革に即応して見せた。私の悲観的観測は正しくなかった。必ずしも、すんなりスムースにではなかったかも知れない。が、この4、5年の間に誰もがこの流れに付いて行っているのだから、私は手放しで感服している。

あけぼの会が成し遂げたこと
 患者が自分で考え、自立し、医師ともほぼ対等に話ができる。患者が賢くなったのだ。そこに、あけぼの会が入り込んでいたのか?イエス、立派に入り込んでいた。賢い患者になろうと口で言うのはたやすいこと、でもすぐにはそうなれない。少しずつ、時間をかけて来た。そこにあけぼの会が伴走したのだ。全国のあけぼの会が今までのどれだけの患者の相談を受けたか。解決のアドバイスをあげて、励まして、辛抱強い応対をした。電話で悩みと不安を聞いてあげて、真夜中になった、と山口の元支部長は言っていた。なかなか出来ることではない。私たちはみな、これをボランティアでやってきた。お金はどこからももらわない。なんと健気な人たちよ、かく言う私自身も40年間、そうだったんだけど。
医師とも仲良く
 医療の改革は医療側、患者側、どちらか片方がやっても意味がない。これは双方のものだからだ。私たちは医師たちと非常に好ましい関係を築いてきた。これは会の財産だと思っている。どの県でも乳がん専門医と日ごろからコンタクトを取っていて、講演会においでいただいたり、新年会、温泉旅行などにもお付き合い願ったりしている。とにかく仲良しなのだ。どんな折にも患者からの要望を伝えて、患者の真の思い、また苦しみを伝えている。一方通行ではない。ただ私たちはどんなときも医師に対する尊敬の念は忘れていない。これが伝わるから、医師も真剣に対応してくれる。この相関関係が素晴らしい。
 私はこの10月で正式引退表明をする。でもあけぼの会は終わらない。脈々と今まで通り続く。あとを引き継いでくれる人がいて、安心している。40年もがんばったのだから、もういいだろう。今までの延べ万を越すあけぼの会会員にアムロ流に「ありがとう!!」を絶叫しよう。     ワット akebonok@d9.dion.ne.jp