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My Story

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My Story(2016/8)あれから5年、その後の経過報告(5)
廣瀬満重 (東京在住・1961年生まれ)

2021年09月08日更新

夏の花カンナ<br>  ――花言葉:情熱、快活<br>撮影:前田こずえ(東京)2021/7夏の花カンナ
――花言葉:情熱、快活
撮影:前田こずえ(東京)2021/7

新薬エンハーツ(2020年7月~現在)
 2020年7月に、パージェタ、ハラヴェン(途中からハラヴェン中止)、ハーセプチンの3剤併用から新薬エンハーツに変更し、現在に至っている。エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)は、2020年5月に発売されたばかり、正真正銘の新薬で、病院では私が使用第1号の患者となった。重篤な副作用として間質性肺炎があり、発症すれば命に直結する。製薬会社からは毎回のCT撮影がリクエストされていた。だが、撮影による被爆を考えると頻繁なCT撮影は避けたいという主治医の判断で、レントゲン撮影も挟みながら慎重な治療開始となった。
世は、2019年末に中国・武漢から瞬く間に全世界に広がったコロナ禍の中にあった。副作用として出現するかもしれない間質性肺炎の症状が、コロナによる肺炎の症状と見分けがつきにくいということもあり、化学療法室の看護師さんたちも、かなりナーバスな新薬投与スタートになった。
これまで使用したほぼ全ての抗がん剤で、常に減量、減量を繰り返しながらなんとか命を繋いできた。薬の感受性が人一倍強い私としては、強力な新薬エンハーツを3回目まで規定量で行えたのは、奇跡、快挙である。とはいえ、好中球値は常に投与の可否を決めるボーダーラインの1,000あるかないかのギリギリ、毎回綱渡りの投与だった。

副作用がきつく、足が前に出ないほど
 副作用の嘔気と疲労感がとてつもなく酷く、エンハーツ4クールから8割減量開始。吐き気が収まり、ようやく食事を摂ろうとすると今度は遅発性の酷い下痢に襲われ、気分は萎えた。倦怠感の酷さと猛暑、片時も外せないマスクの苦しさ、居住地域の坂道の多さが相まって、徒歩での通勤途上、足が前に出なくなり、「倒れてはなるまい」と何度も階段や縁石等に座り込みながら必死で歩いた。
再発治療開始以降初めて、治療を続けながら仕事を辞めないでいられるだろうか、と弱気になった。4クール目からは8割減量にしたものの、その副作用は体感的には殆ど変わらず、5クール目からは6割減量とした。これ以上の減量は出来ない。

神の助け、週1度の在宅勤務!
 そんな状況の中、緊急事態宣言下、試行的に開始された週1度程度の在宅勤務では、頭を締め付けるかつらからも、息苦しく耳の周りが痛くなるマスクからも、ストッキングやお化粧からも解放され、お手洗いにも気兼ねせず何度も立てて、マイペースで仕事が出来たことが有難かった。まさに神様の助けだった。
脱毛は半分程度の確率とのことだったが、毎回ひょろひょろと抜け続けた結果、ハラヴェンによる3度目のかつら生活から卒業して僅か数ヶ月後、秋口には4度目のかつら生活がスタートした。それでも猛暑の期間だけでも避けられたことは有難かった。
これまでに経験した抗がん剤治療では、休職中に投与した初めての抗がん剤であるタキソテール、好中球減少対策として治療翌週3回グランを打ちに通いながらギブアップしたECを除き、水曜日に投与すれば大抵その週末の土日のうちにはほぼ副作用が抜けて、翌週月曜日からは普通に仕事が出来た。
しかし、エンハーツは副作用から復調するのに10日ほどかかり、丸々1週間は各種制吐剤等を飲んでいても吐き気や倦怠感が続いた。復調が見えてくるのがそれからで、下手をするとそのタイミングで下痢も重なる。投与翌週末になんとか体調が戻ってくるため、3週間毎の投与で半分の10日は体調不良、普通に動き回れる日が半分の10日程度になった。そのため、気分転換が出来る(予定が入れられる)土日は3週間に1度ずつ、と行動がかなり制限されることになり、コロナ禍の制限も相まって、ストレスが溜まる一方だった。
◆8月4日には無事18クールを再トライ出来、これ以降は4週間毎の投与となった。28日毎の投与であれば10日間具合が悪くとも、残りの18日は元気でいられるので、少し気持ちが楽になっている。

旅行もキャンセル続き
 プライベートでは、昨夏予定していたトルコ旅行もコロナ禍により中止になった。春先に早々と特大のスーツケースを購入してしまったが出番がないまま、収納庫で無駄に場所を取っている。今年1月、同様に中止となった結婚記念日旅行等々、中止になった旅は数え切れない。
一方、母はと言えば、昨年9月、術後5年の検査で無事、直腸がん卒業となった。本日(9月8日)の左腎がん2年経過観察の結果も良好で、危なっかしいが独居を頑張っている。出来れば逆縁を避けたいと思うのだが・・・。
スタートから3年目を迎えた「乳がん患者さんのための瞑想ヨーガクラス」はコロナ禍でリアル開催が難しくなり、2020年1月を最後に、4月以降、1年間試行で、オンラインクラスを開始した。実施運営のノウハウが整ったところで、今年度4月からは、よりリアルクラスに近づいた形式にパワーアップして継続中である。その結果、リアルでは参加が難しかった地方の方を含め、日本全国から参加を頂いている。災い転じて福となった感、有難いことである。(次号最終回に続く)

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