あけぼの会は2003年10月に25歳の誕生日を迎えます。25年といえば、四半世紀、100年の四分の一。5歳だった私の息子が30歳になり、38歳だった私が63歳になるまでの歳月。振り返るに、この長い年月、私はひたすら、あけぼの会とともに生きてきました。本当は「あけぼの会に命をささげた年月」と言いたいのですが、それはちょっと恩着せがましいので、やはり、「ともに歩んできた」という表現が妥当でしょう。

25年前、たった17人で産声を上げた乳がん患者会が今では全国47都道府県に4000人の会員を持つビッグな一大患者会に成長しました。華岡青洲の時代から日本に乳がんがあったので、現存の乳がん体験者の数は何百万人という単位になるでしょうか。そのうちの4000はそう驚く数ではありません。が、私はすごいと思うのです。それは患者だけの力、それも、大体が中年の女、だけの力でここまで築き上げて勢力範囲を広げている、この事実が素晴らしい。日本のオバサンも捨てたものではありません。

がんの患者会というと、どうしても暗いイメージですが、乳がんの患者会に限って言えば、洋の東西を問わず、明るくて元気がいいのが特徴です。性格的に見ても前向き思考の人が多い。

それで、あけぼの会のモットーは「再び、誇り高く、美しく!」

これが、響きも文字も字数もよくて、目にも耳にもやさしくて、なぜか胸が熱くなるようで、少し威厳があって、乳がんの悲しみを洗い流してまだ余りあるようで、新しい力が湧いてくるようで・・・。私が考えついたのですが、自分でもかなり気にいっています。あけぼの会の底を流れるこのスピリットこそ、25年間少しも衰えることなく、会が存続している要因といえるでしょう。

がん患者に必要な薬は抗がん剤だけではありません。がんのショックを越えて、生きる力を取り戻し、再び社会に復帰する、その力を付ける薬がなにより必要なのです。これが町の薬屋さんに売っていない。どんな名医も処方できないお薬。これをあけぼの会で作って売っている?今まで考えなかったのですが、実はそういうことだった。

がん患者に不可欠な薬はやさしくて強力なカンフル剤。ある日突然、がんという病気に急襲されて、打ちのめされ、生活設計が壊されて、生きる自信をなくし、おまけにわずか数年先の命の保証もない。そんな人の心にじんわりと沁み渡って、すばやく効果を発揮するカンフル剤をあけぼの会は作っているのです。