あけぼの会の事務局にはレギュラースタッフが現在8人います。全員が毎日事務局へ詰めていたら、ちょっとした商社並みで恰好いいのですが、どっこい、たったの週一しか来ない「週一レギュラーおばさん」ばかりなのです。連日出勤は会長の私だけ。私を軸に月、火、水、木、金曜日のシフトが決まっていて、一人か二人出勤する。会員が4000人もいる一大患者会の事務局も蓋を開けてみれば、このような不確か要素を地盤にした、なんとも頼りない砂上の楼閣なのです。

平均年齢58歳、最年長が私で63、若いほうが48。よって物忘れが激しい年齢層。「言った、言わぬ」の漫才問答はいつものこと。事務所は渋谷に近い目黒区にあるのですが、ほとんどの人が遠距離通勤。千葉の船橋、松戸から、神奈川の登戸、横浜から、そして都下の東大和から1人と都内組が3人、計8人。通勤に2時間近くかかる人がそのうちの3人。目黒にも渋谷にも会員がいるのですが、他県組のほうが多数というおかしな現象。

その上、遠い人のほうが長続きしている。経理担当の国府浜さんは13年、事務局長(と呼ぶと叱られる)斉藤さんは10年、何でも係の桑野さんは8年、そのあとに続く面々もみな3年以上のキャリアなので、まさに‘あけぼの一家’の感があります。長年、苦労と喜びをともにして、同じ釜の飯を食っているからでしょう。

みなさん、実によく働きます。面倒な仕事でもいとわない。しつこい電話相談でも、見かねて私が受話器をむしりとるまで、ひたすら辛抱強く、応答する。更には、自分が電話で人と話をしながら、誰かが別の電話で答えている内容を盗聴していて、「あんた、ちょっと待ちなさい!」と突然叫ぶような恐怖の会長さんのもとで、どうしてこんなに長続きできるのか。世紀の謎、と思うでしょう。

それは、めいめいが信念のために動いているのであって、会長のためだけではないからでしょう。あけぼの会の社会的役割に対する使命感、そして、自分がそのために役立っているというささやかな満足感、それに自分の能力を生かしている充足感。そしてそして、私に怒られるたびに身が締まる(少し痩せる)一種の快感??

でも何より、あけぼの会は楽しいのです。信じないでしょうが、私だって機嫌のいい時もある。冗談、それもかなり知的な冗談、を交わし、よく笑う。

また、全国の会員さんから地もとの名産が次ぎつぎ届いて、それがランチテーブルをにぎわしてくれる。今年は冷夏でしたが、兵庫県の揖保の糸と小豆島特製のソーメンが定番で、なんとあの会長さんがエプロンして、にわか賄い婦。毎日、ソーメンを茹でて、「同じ釜のソーメン」を食べています。