リンはメルボルンで1993年に乳がんの手術を受けて、5年後の98年に、オーストラリア国内に点在していた乳がんの患者会をまとめてネットワークを作ったという人。現在ネットに加わっている団体総数がなんと150。 総会員数が各州に1万人を越えるという膨大な数。クイーンズとかビクトリアというのが州の名前です。

 一つの国の中に乳がん患者会が無数にあるのが今や世界的現象。近隣の台湾も韓国もその通りで、台湾などあの狭い国に33もあるというから驚きです。なぜか。それは患者会が通常、病院単位で始まるからで一つの病院の中で一つの会を発足させる。その場合、院内の医師やナースを中心に集まった患者の会であることが多い。

 それで、日本のあけぼの会のように全国組織にするにはどうしたらよいか、という質問を受けています。リンは既に存在していた150の患者会を一つの網の中に入れて統合体を作ったわけですが、各団体はいままで通り、それぞれの活動を続けていくのは同じ。この8月末にメルボルンで「オーストラリア乳がん患者会全国大会」が大規模に、実に6年振りに、開催されるそうで、リンはその準備に追われている。

 あけぼの会は一つの種が実って、木になり、林が出来て、自然発生的に森になっていったので、林を集めて人為的に森を作るのとはちょっと違う。ですから、全国統一組織にする秘訣を聞かれても、成り立ちが違うので、答えにならないと思われます。でも、この9月に三日間通して、台湾でやはり「台湾全国大会」が開かれるので、そこに招かれて、あけぼの会の紹介をすることになっています。

 あけぼの会は現在会員数4000を越えて、先月一月に何と60人の入会がありました。この勢いで増えていくと、ひたすら膨大な会になってしまう。そこで、全国組織にしたい国と正反対に、全国組織を地方単位に分散させるべきではないかと考えています。大きければいいというものでなし。実績は既に作ったので、あとは各県の支部が小回りのきく活動を、その地域のニーズに合わせて、進めていくようにすればよい。来年一年、テスト年に決めて、この発想が可能かどうか、支部に丸投げしてみようとひそかに目論んでいます。

 そうでもしないと、本部が危うくて、全国4000余の会員さんの面倒見切れなくて、看板に偽りあり、になってしまいそうなのです。とにかく、何を隠そう、本部詰めのスタッフが足りない。かつて、レギュラースタッフ8人体制だったものが、今、半分以下の3人になってしまって、ちょっと意味が違うのですが、自転車操業といった切迫感あり。ボランティア団体の弱点が露見した例です。

 これが、台湾に行って私、何を話すんですかね。あちらのほうが、人力豊富、情熱燃燃、意欲満々(他に漢字4字熟語ないかしら?)なんですよ。まあ、10月には台湾から患者会のリーダーに来てもらって、老体あけぼの会に渇を入れてもらうことになっていますが、さしづめ、問題点を出し合っての協議会になることでしょう。