5月19日に日本を発ってポルトガルまで行ってきます。第12回Reach to Recovery International という国際会議に出席するために。日本語に直訳すると「回復へ手を伸ばせ」になるのですが、回復に向かって前向きに、といった意味でしょうか。アメリカのテレサ・ラッサー女史が乳がんの手術後、自宅へ戻ってから、不安に襲われたので、他の患者を救うために、自宅で患者の悩みを聞くことを始めました。今から50数年前のことです。
それが、進展して、入院中の患者を訪問して、退院後の生活に対する不安・心配にアドバイスするシステムになり、それをアメリカがん協会が協会の傘下に引き入れたのがきっかけで全米に広がって、今や術後の患者のほぼ100%がこのサービスを受けているといわれています。
日本ではあけぼの会が1994年に正式にこれを取り入れて、聖路加国際病院や熊本市民病院で開始。現在は国内いくつかの病院で続いています(ホームページのABCSS病院訪問ボランティアの項を参照してください)
とにかくこの国際会議はかつて2年に一度ヨーロッパの国々で開かれていたのですが、2000年を境に3年置きになり、今年2003年ポルトガルの患者団体が幹事をしてリスボン開催と相成った次第です。
ついでですが、2000年の会場で私があけぼの会を代表して「テレサ・ラッサー賞」を授与されました。日本で、病院訪問ボランティアをスタートさせ、根付かせたその功績に対して。余談ですが、私のほかに6人が立候補していて、みなさん強豪で、誰がもらってもおかしくなかった賞を手にした私は非常にラッキーだったのです。
今年はどなたが選ばれたか、もう本人には通知が行っているのですが、他の人は会議の最終日までわからない。私は過去の受賞者として、今年の人を祝福するために会議に行くのも一つの目的なんです。
この病院訪問ボランティアのシステムが日本ではなかなか広がらない。患者にとってはありがたいサービスなのに、病院の理解が得られず、受け容れられていない。医師やナースがどんなに頑張っても体験者にしかわからない、がんの不安な気持ち、退院後の生活のしかた、職場復帰はいつ頃から、などなど、先輩患者の出番があるのに、そして、患者も求めているのに、なぜもっと利用しようとしないのか、日本の医師ナースは得てして、保身的で心が狭い。必要性を理解しようともしない。