札幌の帰りは定山渓温泉に一泊。北海道支部の会員が17名も私に同行してくれて、にぎやかな一夜の旅になりました。大風呂は端から端まで見えないほど広くて、露天風呂あり、ジャグジーあり、何でもありの感じでした。支部長がその宿を選んだ理由が「風呂場が広大だったから」というもので、納得でした。

 というのも、私たちはみな胸に目立つ傷を持っているので、人目を気にしながら大風呂に入ることになります。それで、広いと人目もばらつくのですが、狭いと集中するのでじろじろと間近で見られることになる。通常、タオルを当てたままは入れないので難なのです。それでもせっかく温泉地にいけば、大風呂に入らなければもったいないから勇気百倍でイケイケ入浴。

 これは術後26年もたった私でも毎回肩身の狭い思いをしているので、ましてや、若い独身女性や手術後日が浅い人にはこたえるでしょう。最近は「温泉に入る会」が出来たり、大分の別府温泉では術後患者だけが入れる時間帯を決めてくれている、などのうれしいニュースを聞きます。あけぼの会でも毎年‘いで湯の旅’と称して、一泊温泉の旅を続けています。大風呂を2時間借り切って、みんなで温泉堪能。

 主婦層は温泉族なので、これが人気で、毎回100人近い参加者あり。また、家人もあけぼの会の一泊旅行だと快く送り出してくれるといいます。帰ってきたとき、飛び切りいい顔をして、生まれ変わったように見えるからだそうです。温泉のお湯ももちろんですが、一晩、お部屋でみんなと喋り明かすのが何よりの特効薬なのでしょう。定山渓でも私が寝たあとも皆の衆はビール(焼酎だったか)を飲んで、何かつまんで、大声で笑って、夜更かししていました。

 乳がんという一つの病気をきっかけに出会った人たちが、何十年来の知己のように心をさらけ出して語り合う、なんという奇縁。乳がんになって、あけぼの会に入会して、知り合った人たち。さもなければ、ほとんど絶対に知りあうことはなかったと思われる人と人の出会い。いつも会員を見ていて胸が熱くなって、涙が出そうになる。私は会長だから、4000人もの友がいる。本当にありがたいことです。

 がんは、人生で、なくてもよかった経験だったけど、そのおかげでおもいがけない友情を、しかも40,50,60という年になってから、育むことになる。なんたって、裸の付き合いなんですからね。これからも温泉旅行は続けましょう。来年、候補に上がっているのは奈良なのですが、実現するか、お楽しみに。

 さて、みなさん、私は明日(11/16)から、ロスへ行って、少し静養してきます。25周年行事で思いっきり頑張りましたからね。英気を養ってきますよ。現地リポートをお楽しみに。といっても、ショッピングと映画だけの予定ですが。

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