ずいぶん長い間のごぶさた、すみません。もう連載は永遠に終了したのかと、思われたかた、あなたは正しい。終わりたいのです。実は体調がよくなかった。バンコックから戻って、すぐに我が故郷、佐渡へ2泊3日で行ってきました。90歳の母親が一人で住んでいる実家がそれはそれは寒くて、台所なんておそらく外より寒い。それですっかり体調を崩したか、風邪のはじまり。もう今日で10日になるのですが、まだ体がだるくて寝ていてもいいなら、寝ていたいのが本音です。
バンコクと佐渡島の気温差が35度はあった。それで1月18日に65歳の誕生日を迎えた私の体が付いて行かれなかったのだと推測いたしております。インフルエンザの予防接種を受けていなかったので、高熱が出たらおしまいだと恐れおののいていましたが、中熱くらいでおさまっています。しかし、忙しいのに、体がパッとしないのは困りものですね。
そこで思い出したのは、先日受けた電話相談二件。抗がん剤治療を受けているが副作用のせいで、体がだるくて何もできないので、やめたいという人。もう一件は、肺にも肝臓にも転移していて、抗がん剤治療を受けているが、少しも状態が良くなっていない。このまま薬を続けるか、どうせ治らないのなら、思い切って薬をやめて、カナダに住んでいる息子の所へ行ってきたいという人。
「やめてもいいんじゃない」と私はその人たちに答えてしまった。 一昔前なら「あなた、何を言っているんですか。先生があなたに良しとして出してくれている薬をやめるなんて。今以上に悪くなったらどうするのですか」なんて、お説教をしていました。今思うと、ちょっとはずかしい。何もしないより、何でもしたほうがいいに決まっている、と信じていた時代。
今は違いますね。「抗がん剤治療を受けたから、再発しないという保証はないのよね」なんて言っていますが、だめでしょうか。本当にやめたかったら、一時やめてもいいのではないでしょうか。
でも、一人目の人は主治医に「やめたい」と伝えたら「せっかく2回目まで終えたのに、今やめて再発しても知りませんよ」なんて、脅し文句を言われたそうです。医者にしたら面白くないのでしょう。俺の言うこと聞けんのか。
かくいう私も27年も前に抗がん剤を拒否しています。単に、怖いもの知らず、だったのですが。そのとき私の主治医は「あなたのためには5年治療計画を立てていたのに、今治療をやめたいなら、それは全部だめになるので、あとは知りませんよ」という別れの言葉で、さすがの私もいっとき後悔しましたが、結局、抗がん剤やらなかったのです。で、再発しなかったからいいようなものを、していたら、目も当てられないことに。ああ、だから、これは永遠にハムレット。抗がん剤続けるべきか、続けざるべきか、それが問題だ。