5月21日から25日までポルトガルの首都リスボンで「乳がん患者世界大会」のような集まりがあって、日本からも私のほか6名、計7名で参加してきました。この集会の正式名は「第12回Reach to Recovery International」。

もともとは病院訪問ボランティア(Reach to Recovery、あけぼの会ではABCSS)を世界中に普及する目的で始まったものが、今では世界乳がん患者大集合といった呼称のほうが相応しい内容になっていて、今回も35の国々から総勢500人が一同に会したのです。

それでも、前々回のバルセローナ会場にはいたギリシャのドーラさんは再発で亡くなっていたし、2000年のイタリア・グラード会場で采配を振るっていたアンナ・マリアは体調が悪くて欠席。やはり世界的にもがん患者の命は先がわからないのだと実感しました。

しかし、出席しているメンバーは超元気。とにかく誰を見てもおおよそがん患者には見えません。乳がんになる人の傾向は振る舞いが明るくて、積極的、それで結構目立ちたがり屋さん、ではないかという印象(私がそうです)。そんな傾向で、且つ、世界大会に自発的に参加しようという勢いがある女性の集合ですから参加者のファッションと会場の雰囲気は例年、かなり派手で活気に満ち満ちています。

今回はゲストスピーカーに乳がんで奥さんを5年前に亡くしたノルウェー人の夫が招かれて、医療関係者に対する注文の数々を訴えました。それが非常に胸を打つ内容で、会場が一つになって聞き入っていた感じでした。この人はジャーナリストという職業柄、内容が理路整然としていたのも、聞く人の耳目を引いたと思われますが、やはり、高邁な理論ではなく、自分ががん患者の夫として何が最も大変だったかを話したのが感動を呼んだと思われます。

なかでも「家族は、時に、病人本人より大変なこともある」と言ったときは、ほぼ全員が患者体験者だったので、めいめいがお国に残してきた家族のことに思いを馳せて、何か感慨を新たにしたという雰囲気が伝わってきました。本当に患者は自分の命のことで頭がいっぱいで、家族も等しく辛い思いをしていることまでは、なかなか気が回らないのが常です。

次回は更に詳しくこのジャーナリストのお話しを紹介しましょう。