みなさま既にご存知のように、来たる10月3日(日)には恒例<あけぼの会秋の大会>が有楽町マリオン11階、朝日ホールにて開催されます。昨年25周年記念大会では全力投入だったので、今年は肩の力を抜いた大会にしたいと思って、あの田原節子さん(田原総一朗氏夫人)他講師陣をオール女性にしました。でも田原さんがお気の毒にも8月に亡くなられ、プログラムの見直しを迫られました。代わりに山形在住で画家、あけぼの会特別会員の後藤栖子さんが来てくれます。

 実は後藤さんもいつなんどき、どうなってもおかしくないほど病状が悪化しています。でも、ありたけの力を振り絞って、私たちに「贈る言葉」を思うまま、話してくれることになっています。「遺す言葉」というべきでしょうか。迫力と凄みのある言葉がほとばしることでしょう。とても頭がいい人なのに、謙虚な人です。

 私が最初にごあいさつ。今年は20分ももらいましたので、喋りますよ。そのあとはなんと苦手な厚生省から老人保健課の三浦課長さん。これが若くてかわいらしい青年で、私が一目惚れしちゃった、お役人らしからぬお役人です。話せる人、と見て急遽お頼みしました。国の乳がん政策を問い正してみましょう。

 次いで、日本のナースを代表して、聖路加国際病院から玉橋ナースマネージャー。この人が名物ナースでめちゃ面白い。ハラハラするようなことを平気で言い放って、知らん顔している。この人、一見の価値あり。最近、身内にがん患者を抱えて、看病に心身共に疲労の極みなのですが、この日は聴衆を爆笑させてくれる予定。ご自分も乳がん胃がんのダブルがん体験者、まさに不死鳥とはこの人のことです。

 その次は、あけぼのヤングを代表して渡辺さん。31歳で手術。結婚。そして、再発、目下治療中。ご主人も見える予定です。壇上で、みなさんに紹介するのを忘れないようにしましょう。抗がん剤治療で脱毛が始まったので、一時治療を中断して結婚式をあげたそうです。本当に<がんはドラマ>ですよね。きっと素適なパートナーでしょう。若い会員が増えているので、今年はヤングに敬意を表しました。

 そのあと、先に紹介した後藤さんです。題して「死ぬことは次の人に席を譲ること」ちょっとショッキングなテーマですが、私が「思い切ってこれで行って」と頼みました。とっくに死ぬ覚悟が出来ていて、悟っている。まさに彼女しか話せない悠然たる言葉が続々出てくるでしょう。台湾の人にこのテーマを伝えたら「禅」の文字を書いて、まさに禅の教え、と合点が行った顔をしました。

 休憩に入る前に、何だと思います?お客さんの紹介です。それも台湾からの総勢15名。台湾チームは私が向こうにいる間ににわかに日本行きを決めて、それもあっという間に15名も集めて押しかけてくるというので、ちょっと当惑。でもお客さんはいつでもどこからでも歓迎します、が会のモットーでございますゆえ、大喜びで歓迎準備を始めたところ。ただ、あのパワーには今からの準備ではかないませぬ。

 田原節子さんが来られなくなったことがわかったら、先に申込みを入れていた一会員がキャンセルするので返金してほしい、と言ってきました。これってすごいと思いませんか。あけぼの会の全国大会は有名人をお招きするための会ではありませんのに、この会員はフツーの人ではダメらしい。有名人は別にうちの催しでなくても他で見ることが出来るのですから、そういう場所に行ってください。

 当方、これでも中身で勝負。普通の人が飾らない言葉で普通に話しをする。聴く耳を持つ人には、それがどれだけ感動的か。がんを体験して、つくづく思ったのは、何でも中身ということ。外観ではなくて中身、内容が肝心なのであります。人間は特にそう。名もない人でも中身がある。有名人でも中身のない人がいくらでもいる。お金は返しましたけど、なんだか無性に腹が立つ。私は人間が出来ていないのです。

 そして、大会ですが、休憩後のパート2は全国5県から5人の支部長が、それぞれの県の乳がん事情を披露。司会役にあの永六輔さん。永さんは毎年、秋の大会にはどんなにお忙しくても駆けつけて、応援のスピーチをしてくださいます。自称、あけぼの会唯一の男性会員。女所帯にはとても頼り甲斐のある男性会員で、しかもラジオや講演先で会の活動を紹介してくださる。永さんの永は影響力のエイ。日本でたった一人、手放しで応援してくださる有名人、泣くほどに感謝しています。

 言い忘れましたが、休憩時間に、会員でプロのシャンソン歌手、今井杏羽子さんが癒しのシャンソンを聴かせてくれることに。例えば「百万本のバラ」そして、台湾からのゲストのためにテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」他。これもグッドアイディアでした。落ちついて考えれば、4000人もの会員の中にはまだまだ話ができる人、歌を歌える人、ピアノやバイオリンが弾ける人など、いるのでしょうね。

 従来、秋の大会は外部宣伝も兼ねての催しでした。でも会もよく知られてきて会員も大勢いる今、もう外部にいい格好することもない。それより会員一人一人を大事にしたい、そう目覚めたのです。今までも会場で、県別に会員を紹介して、特に遠路はるばるから、あるいは、一人で遠くから来た会員はみなで歓迎拍手をしていたのですが、何しろ県数が多くて時間が足りない。今年はどうでしょう。

 そして最後に台湾報告。とにかく私が訪ねた台中市の開懐(カイファイ)協会は昨年10周年。会が若いので今も上昇中といった感じ。パワーフル!エネルギッシュ!やる気満々、役割分担がきちっとできている。事務所は当方に較べて優に3倍の広さ、家賃は4分の一。台湾国内に33の乳がん患者会があり、その全国大会に250名が2泊3日で参加。参加費1万円、宿泊食事つき。政府と企業からざっと300万円の寄付を集めた。やることなすことスケールが違う。先輩面して自慢話をしに行ったつもりが教わること多く、恥ずかしくなって退散、これが偽りなき報告です。

 本年10月3日を記して、台湾と日本両国が<日台乳がん患者交流会>を立ち上げます。それを応援しに、みなさん、どうか3日の日、お出かけくださいますよう。