10月は世界的に‘乳がん月間’。今年の忙しさは半端ではなく、毎朝目を覚ますと今日はどこへ行かなければ、何をしなければ、誰かに会う日だった、と反芻して、もし人前に出るような日は「いやだな」と思ってしまう。先ず何を着るかを決めて、それからシャワーで髪を洗ってムースを付けて、お化粧も日頃より濃い目にして、そしてお出かけ。これが一泊となると、小旅行の準備になるので、また面倒。

 ただ事務局に行けばいい日だと力まないで済むのでホッとする。どうしてもしなければならないこと以外、何一つしたくない、というのが正直な告白。欲もなければ情熱も失せてしまった。年齢のせいだと自分で認めているのですが、疲れるので「面倒くさい」が先に立つ。こんな調子ではあけぼの会4000人の会員に申し訳ない。だって、多くの会員は私から元気を、パワーをもらうのだと決めているのだから。

 それで、と言うわけでもないのですが、一大決心して、どうしても見たかった‘イーグルス’のライブをよこはまアリーナへに見に行ってきました。それが、やはり調子に乗りすぎて、最初から最後まで殆ど立ったまま、辺りの人々に負けじとばかりにリズムを取っていたら、なんと体力完全消耗してしまった。これこそ、身のほどわきまえず。でも久しぶりに100%興奮熱狂陶酔。

 イーグルスと言えば、ご存知「ホテルカリフォルニア」でございます。これを生で一度聞きたかったのでした。というのも、この曲は確か私が手術を受けた1977年2月頃に全世界に流行り始めたはず。退院して精神的に不安定なとき、この曲を繰り返し繰り返し、音響大にして、聴いたのでした。がんという現実を受容したくなくて、ひたすら現実逃避したかった一時期に、今思うと、私は音楽をガンガン聴いていました。他にアリスの「冬の稲妻」とかも。大分古いですね。

 日本の中に、台風23号の被害からまだまだ生活を立て直せない人たち、そして、新潟中越地震に見舞われて避難生活を余儀なくされている8万人もの人たちがいるというのに、ライブに酔っていたりしては罪悪感でいっぱいです。でも、あけぼの会はそう多額ではありませんが、被災地に義捐金を送ることにしています。阪神地震の時はTシャツを100枚寄贈しました。とても喜ばれたそうです。

 それと、被災した会員の年会費を免除しました。これも喜ばれた。今回の台風と地震で被災した会員にも何かしてあげたいのですが、電話も郵便も通じないので、当分誰がどうなっているかわからない。

 がんになったときは最大の災難だと思ったけど、避難所の人たちの疲れ果てた顔や姿を見ていると、どっちが災難かと考えてしまう。ましてや、運転中の車が突然岩石に押し潰されて、年端も行かない子供二人を残して死んだ若いお母さんの悲劇など、もう涙なくしては見ていられない。二歳の息子が生存した奇跡にお母さんの愛を感じて、また泣いてしまう。本当に今年の日本の秋は狂ったまま過ぎて、今、容赦ない寒い冬が始まってしまいました。 札幌は雪。