今更、こんなことを書くのもなんですが、私の「週一連載」がいつの間にか「2週一」になってしまいました。看板に偽りあり、です。愛読者のみなさん、ごめん。その上、明日8日からしばらくアメリカへ行って遊んできますので、その間はまたお休みします。妹がロスに、息子がサンフランシスコに住んでいますので、この時期に毎年たずねることにしています。本当は仕事が山積しているのですが、敢えて無視して休暇を取ります。

 みなさん、休暇も努力しないと取れないのですよ。一番楽なのは何もしないこと。毎日同じことを繰り返しているのが、無理のない平穏無事人生。それでいいなら、それでいいのでしょう。でも生きているのですから、多少のメリハリがあったほうがいい。特に忙しい仕事をしている人はたまに息抜きをして、また新鮮な気持ちで仕事に戻る。そうでないといい仕事ができません。

 以前ある外国人の友達に、ヨーロッパへ行きたいのだけど、飛行機の予約をして、仕事の片づけをして、犬猫の手配をして、おみやげを買って、スーツケースを詰めて、長時間飛行機に座って、なんて、あれこれ考えただけでいやになってしまうのよ、とぼやきましたら、それを言ってたら、何も楽しめない、休暇を取るためには、そのくらいは仕方がないのだ、と真剣な顔で私をたしなめるので驚いてしまった。

 でもそれ以来、そうだ、休むのも努力が必要なんだ、と妙に納得して、ペットフードの買いだめをしたり、苦手なパッキングに頭を痛めたりして、機会があればどこへでも行くことにしています。私はご存知のように唯我独尊型で、人さまの言うことを、そう簡単には聞き入れない。でも、なるほどと合点がいけば、全面的に信じて、終生信じぬくタイプ。

 それが、何を言っても聞かない人がいる。例えば、一旦がんなどの病気をしたら、それまでの生きかた考えかたを見直してみるいい機会なのであります。もし、自分がはた迷惑なほど「がむしゃら型」だと思ったら、「少し手抜き型」に直す努力をしたら、と提言しても、それが私の性格だから直せないんです、と言い張って少しも譲らない人がいる。自分の性格の一面を直そうとすることこそ人間向上につながるのではないでしょうか。直そうと努力しないで、直せないと決めている。

 また、なぜか新聞は「朝日」しか読まないとか自慢げに言う人がいて、あれこれ取り替えて読む人を軽蔑している人がいる。これも私に言わせれば、取り替えるほうが面倒なので、景品をもらうためでも他の理由でも、替える人のほうが偉い。「朝日」の読者が特にインテリだというわけでもないのだから。

 総じて、人生あれこれ努力をする人が一番偉い。なんかわかったように「だから、私は海外旅行なんかに行かないのよ」とか「新聞は一紙に決めているのよ」なんて達観ぶって言う人がいても、少しも偉いと思わない。逆に、気の毒に思う。と言い放って、私は休暇に入ります。