病気もこれだけ長くなるとお見舞い客も足遠くなるのは必然。それでも私が来て20日の間にニック、ミッシェル、ピータ&ビョウワ、トム、ジョンが昼間に来てくれて、そして夕べはキャロリンと元オットのチャールスが来て夕食を食べていった。私がいない時、キャロリンがみんなのために出来合いを買ってきてくれたと言うので、また食料持参でくるのかと思いきや空手だった。前日茹でたパスタを使って、私の得意のレシピ、チキン&マッシュルームにセロリ入りクリームソースを弱火で煮て、にわかグラタンを作っていた。

 が、それだけで足りなさそう。サラダに入れる予定だったベーコンを応用、ポテト皮付き乱切りを茹でて、それにベーコンを絡めて塩コショウで味付け、プラス一品をクリエートした。私って手持ちの材料を最大限に利用して何かを産み出すことにかけては天才的。それにグリーンサラダとトマトサラダ。トマトのほうは息子が買ってあった青じそドレッシングを使ってオリエンタル風味にしたら大好評だった。日本の私の冷蔵庫にないちゃんこ鍋つゆとか、エバラおろしのたれとかある。今夜は白菜しゃぶしゃぶにでも挑戦するか。

 ちゃんこと言えば、時津風部屋のあの可哀相な力士を思い出す。あの事件あれからどうなったのか、誰が見ても虐待死なのに、あの親方はまだ自由に泳いでいる。許せない。私の息子だったら発狂して、親方を刺して自分も死ぬ。そして、気の毒なのはあの三田佳子さん、息子の養育に失敗しました、なんて全国民に頭を下げるなんて。日本人ってああいう謝罪会見をさせて満足する陰湿傾向あり。三田家の問題なのに、社会的制裁を加えないと承知しない国民様。彼女が「お芝居には出ます」と言ってくれてよかった。応援します。

 芸能界の親分アッコさんが「だめね、親の管理責任なってないよ」とご意見吐いたらしいけど、息子を持って大仕事を続けているお母さん、やったことないのに無責任発言ではない?言うのは簡単、やってみて。特に男の子がむずかしい。自分の子供をもう一度小さいときから育てなおせたら、と自分を責めている母親が世の中に私も入れて万といると思う。父親は別の人間として突き放して考えられるけど、母親はいつまで経っても切り離せない。産み落としたときに切ったはずのへその緒がいつまでも繋がっている。亡霊の母性本能。

 ヘルパーのジェニースは祖母が死んで、急にジャマイカへ帰ることになった。クリスマス終えるまで戻らないと言う。そしてあのピースも2週間休みを取って、ナイジェリアに帰る。入国を拒否され強制送還された夫に会える。それぞれ国には夫ともう一人の子供を置いてきている。出稼ぎを妻がやっている、しかも子連れで。替わりを派遣してくれるのだろうが、慣れている二人が同時にいなくなるのは困惑。しかし仕方がない。みんな自分の国に帰りたいのだから。そして私も去る。それが一人ずつ一日違いでヒースローを発つ。

 病人の世話から私は引退、もっぱら、おさんどんお洗濯掃除の家政婦さん。体を拭いて着替えさせたりオシッコの管を着装したり、溜まったオシッコを捨てたり、大のベンを捨ててお尻拭いてベンを捨てた入れ物を洗ったり、何を取ってもきれいではない。それが世話している最中に子供たちの大きな笑い声が聞こえる。これが救いでなくてなに。病人を叱かりつけたり文句ぶつぶつ言うのが聞こえたりしたら、私は息ができなくなるだろう。