29日の帰国日まで10日を切った。 こちらでも人々は私の顔を見ると反射的に、今度はいつまでいるか、いつ日本に帰るのかと聞いて、次はいつ戻ってくるかと、そこまで聞く。 実は12月23日に戻る切符を既に買ってあるのだが、キャンセルして ( 3万円のキャンセル料払っても ) 暫く戻るまいかと思案中。 なぜって、こんな生活に耐えるのはもうよそうと決めたから。 体が沈んでいくのがわかる。 沈んだ体が浮かび上がらない。 何か強烈に興奮したいのだけど。 そう、恋でもすればいいんだわ。 でも無謀ね、 2008年1月私は68歳。

 つらつら、ここの日々を観察すれば、私がいるといないではやはり違うので、いてあげたいとも思う。2年前、家族のために身も心も捧げる覚悟をしたのだったけど、長くなるとそれも薄れてしまった。覚悟にも限界がある。このままでは私が病気になるのではないか、不穏な予感。それだけは避けないと誰のためにもならない。次回の来英はクリスマス&ニューイヤーを挟む。世間では家族全員一緒に過ごすが常。私が欠ければ、みながさみしい思いをするだろう。昨年、息子と大きなターキーを買ってきて初挑戦したのを思い出す。

 昨日22日、ピータ(女性)の招待でデーニッシュクラブでランチ会。ピータはジャマイカ人、ご主人はデンマーク人、それで最近このクラブのメンバーになったそうで、私とグリゼルダの二人を誘ってくれた。あの有名なリッツホテルのすぐ近くで、最寄地下鉄駅はグリーンパーク。クラブはもともと誰かのお屋敷だった歴史的建物で、広い一階に格式レストランがあって、2階は気楽にランチを食べるところ。日ごろの栄養不足を補おうと決めていったので、スコティッシュステーキを注文した。他の二人はフイッシュプディング。

 手持ちのお衣装からやりくりお洒落。黒のレースの丸襟ブラウスを黒の薄いセーターの上に重ね着して、渋い赤のブローチ(長崎の岸川さんの手製、材料は紙、セーターを引っ張り下げない)を付けていたら、ゴージャスと褒めてくれた。レースのブラウスは三軒茶屋の青空マーケットで1000円で買ったんだけどこうして着ると結構映える。ステーキを必死で食べた。添えのポテトとキャベツのバター炒めがまたおいしかった。食った食った食った。ウエイターのお兄ちゃんが食べっぷりにウインクしてくれた。しびれてしまった。

 昨年のやはり寒い時期にグリゼルダ ( ニックの元ワイフ ) が家にピータと私をランチに招待してくれた。 それで次は私の番なのだけどレストランは高くてだめ。 家に来てもらうしかない。 面倒くさい。この二人はいつ会っても気持ちがいい友達。 ピータが次はいつ?と聞くので、切符は買ってあるけど来るのをやめようかと迷っている、と答えたら、 あんたはこの前もそう言って戻ってきた、だからまた来るでしょう、と笑っている。 口惜しい。

 病人の首の後ろの骨が弱くなったのか、首を前に垂らし終日うつむき加減のまま。とにかく笑わない。 人が来てくれても会話に加わりたくない様子。 食事は半分くらい垂れ流すが、それでも飲み込む。 ただ夜寝かすときに二晩続けて少し吐いてしまった。 しっかり胃に到達していない残留物が横になると逆流するらしい。 それで夕べから夕食はサラダだけにすることに。 この人がその昔、ピータとビヨウワ、ニックとグリゼルダの二組を結びつけた縁結びの神だったと昼間聞いてきたので、それを伝えると、ようやく笑ってくれた。

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