私は「毎日新聞」の長年愛読者の一人です。なぜ、と聞かれても確固たる信念があるわけではないのですが、あえて述べるなら、極度にセンセーショナルな騒ぎ方をしない、超ラディカルではない、儲からなくてもかまわない、という姿勢が気にいって、でしょうか。この最後の理由は新聞社が意図するところではないでしょうが。他に「毎日新聞」を読むような人が好きなので、自分もその一人になりたくて、という理由も付け加えます。

 その新聞に佐藤富雄先生(栄養生化学者)による週一連載があって、タイトルが「120歳まで元気に生きよう!」というもの。そんなに長生きは無理でしょうが、100歳は珍しくなくなっている今日この頃です。要は「元気で長生き」をしないと、寝たきりや病弱長寿では意味がないわけです。先生は更に「健康で長生きする成功者はみな楽天家である」「楽天的な人は明るく、優しく、陽気な笑いに満ちています」というけだし名言を。

 「どんなに体に良いものを食べ、しっかり運動しても、心の状態が「快」でなければ、オプティマル・ヘルス(最高の健康状態)は実現しません」 はい、おっしゃる通り。しかし、どうやって「心の状態を快」に保つか。答えは「将来にわたって最高の健康を手に入れようと決心し、それが可能と理解し信ずること」ですが、がん患者になってしまった人がどうやれば未来の可能性を信じることができるか。

①良い自己像を持つ(若くて健康で魅力的な自分の姿をイメージしよう)
②肯定的な言葉を使う(常に快適で希望と愛情に満ちた肯定的な言葉を)
③日常生活の中にときめきを見つけよう(進歩を実感できる仕事や趣味を持つ)
④異性を意識し続けよう(性腺刺激ホルモンが活発に働き、性的な若々しさを保ってくれる)
⑤未来に希望を持とう(常に楽天的でいること)
以上、具体的に五つの項目に分けて説明されています。さて、どれならできますか。

 ②の「肯定的」というのは「否定的でない」こと。即、悲観的でもないこと。これは英語でPositive Thinking. 物事を見るに当たって、暗い側面ではなく明るい側面を見る。日本人はどちらかというとNegative Thinking の人が多いように思います。私が患者会の仕事を25年あまり続けてきて一番の障害はこれでした。何か始めるにも周囲が「そんなことをしてもうまくいかない」と言うのです。やってもみないうちに。ネガティブですね。

 「治る」に賭ける。「生きる」に決める。これはとりもなおさず⑤の「未来に希望を」に通じます。そして、異性を意識してときめく。これが簡単ではありません。相手が要る話しですから。もう一度若い日のあの恋ができるか。私も今日から①のイメージで町を歩いてみることにしましょう。それにしても「性的な若々しさ」なんて言葉、忘れていましたね。来年はこれですよ、みなさん。

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