まあ!このシリーズ、今回で感激の52回に到達しました。その昔「毎日新聞」で週一連載一年間しましたとき、トータルで52回でしたから、これで丸一年続けたことになります。途中、遅れや、すっ飛ばしが何度かありましたから、優に一年以上はかかっているのですが。まだ続けるのでしょうか。ファンレターはこの間たった一通しか来ていませんのよ。

 最近、私はほとんど毎週土曜日のインフォメーションセンター電話相談にも出勤して、都合、週6日働いています。というのも、何でも大体会長の思いつきで始めるので、人手が足りないときは、発案者の私がその始末をさせられる形になる。実は当方、電話相談員が足りません。

 相談は会長の私が聞き耳を立てていて、答えが的確でないと電話を代わって締めることが多々あります。自分で言うのもなんですが、私の答えは的を射ていて、説得力があり、100点満点に近い。だって、この道25年のベテラン乳がんコンサルタントですものね。前にも書きましたが、電話相談の極意は「相談者が電話を切った時、電話をかけてよかったとホッと安堵すること」 即ち、安堵するような答えかたが出来なければ相談者の資格はないのであります。

 答えが難しいときはそれを転嫁する。そのとき、どこへ転嫁するかの判断力が必要。例えば、地方の病院情報などはその地方の支部長の連絡先を教える。その他もろもろ情報なら、手持ちの情報別パンフを参考にする。再建などの体験をした人を探している時は(感じのいい人だったら)会員を紹介することもある、など、臨機応変、即時判断力が不可欠なのです。

 ところが、我が社の相談員を観察するに、何でも自分の頭で答えようとして、抱え込む傾向にあります。自信をもって答えられない質問なら、自分よりもっとわかる人、わかるものに転嫁すればよいのに、それが簡単ではない。余裕がないのです。受話器を握っていると、何でも喋り続けていないと不安なのか、相談相手と自分の二人の世界の中で行きつ戻りつしている。あわてずに、先ずは、相手をどんと受け容れて、相談のポイントをつかむまで辛抱強く訊きに徹することでしょう。

 昨日は、33歳で未婚なので出来たら温存してほしい、と願っていたが誰に相談しても、さっさと全摘してもらえば、といわれ、それでも、やっと温存できるという医師を探して、来週には手術日を決める、ところまで漕ぎつけた女性の電話を受けた。自分の娘と同年齢、ついお母さん口調になっていました。

「もうさんざん悩んで決めたのだから、今日からは力を抜いて、あとは専門家に任せなさい、あなたの迷いも決断も正しかったのよ」と慰めてあげた。長くて辛かった孤独な迷いから解放してあげると、思わずすすり泣き。よかった、これで成功。この娘さんは、迷いは間違いではなかった、という確認がほしかったのです。