報告:橋渡 智美(あけぼの岐阜代表)https://akebonogifu.jimdofree.com
日時:2024年7月27日(土)13:30~16:30
会場:ハートフルスクエアーG 中研修室(JR岐阜駅東)
講師:ワット隆子(あけぼの会会長)
川口順敬先生(朝日大学病院・乳腺外科教授)
二村学先生(岐阜大学医学部附属病院・乳腺外科教授)
清水千佳子先生(国立国際医療研究センター病院・がん総合診療センター、乳腺・腫瘍内科科長/医長)
参加:66名(会員30名、一般36名)
【第1部】講演
ワット会長:テーマ「乳がん患者と共に45年」
・あけぼの会の会長として、患者会を立上げた45年前と今でも変わらない思いで患者に寄り添ってきている。「がんのあと潔く生きる10か条」の中の言葉として、「がんにあなたの人生を支配させてはいけない。あなたの人生はあなたのもの」と皆さんに語りかけました。
川口順敬先生:テーマ「乳がんの基礎知識 ~基礎を正しく学ぼう~ 」
・乳がん発生にはエストロゲンという女性ホルモンが関連している点からホルモン受容体、HER2タンパク、Ki67(がんの増殖能)の3つの要素により5つのタイプに分類されこのサブタイプで乳がん治療方針決定する等、基礎の話しをされました。
二村学先生:テーマ「変わりゆく乳がん治療、私たちはどう向き合うか」
・乳がん患者さんにとって再発は確かに怖いけど…・反対側の新たな乳がんにも気を付けて…
・他のがんにかかることだってある。・主治医任せではなく、自分で検診することが大切!
・早期発見はRFA(ラジオ波焼灼療法)のような新技術を受けることも可能です!
RFA:腫瘍内部に約1.5mm径の針(電極)を挿入しラジオ波(約450キロヘルツの高周波)により電極周囲に熱を発生させて病変を焼き切る治療法(二村先生は『だんごの串さし』と話され、治療期間2泊3日又は3泊4日、2023.12より保険適用となる
清水千佳子先生:テーマ「乳がんの最新薬物療法と意思決定支援」
・がんは遺伝子異常の病気で、親から引き継がれた遺伝子変異と産まれてから起こる遺伝子変異がある。乳がんのゲノム医療には「がん遺伝子パネル検査」を用いたがんゲノム医療と、遺伝性乳がんに関する医療がある。採血だけで高精度な「がん遺伝子パネル検査」が今は主流になっている。「BRCA遺伝学的検査」によりBRCA1/2変異の有無で手術の術式や治療が変わる。
・乳がんの薬物療法は、サブタイプに基づいて決定され、ホルモン療法はリスクに応じて投与期間の延長、CDK4/6阻害薬などの分子標的薬の併用が行われるようになった。また、HER2陽性乳がんに対する治療薬としてエンハーツが使用可能となり、HER2低発現の患者さんにも使えるようになった。
・トリプルネガティブ乳がんに対する新たな治療として免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダなどが使用可能、再発だけでなく術前化学療法をはじめ、周術期にも使えるようになった。これらの新薬は、間質性肺炎などの副作用に注意を払いながら投与することが重要。医師としては、あくまでも患者さん本人の意思を尊重し、療法に取り組んで行くとのお話でした。
【第2部】パネルディスカッション
時間の都合で「質疑応答」に変更、徳丸剛久先生(中部国際医療センター・乳腺外科教授副部長)が自己紹介と今回の講演を聞いて医師の立場として感想を話して下さいました。