●「岐阜新聞」(2019/7/17)朝刊から、転載します。
「がん検診結果を誤通知」――岐阜市、5人に「異常なし」1人治療中
岐阜市は16日、2017、8年度に市のがん検診を受けた50~70代の女性5人に誤った結果を通知していたと発表した。乳がんや胃がんなどの検診で「要精密検査」か「要注意」の結果だったが、市は「異常を認めず」と通知していた。5人はいずれも存命だが、うち50代の女性が4月以降がんの治療をしている。市によると、5人は50代が3人、60代と70代が各1人。17年度は肺がんと乳がんの受診者、18年度は胃がんの受診者だった。正しい検診結果は、乳がんと胃がんの各1人が「要精密検査」、肺がんの1人と胃がんの2人が「要注意」だった。
●この記事を読んで、すぐ思ったのは「何故、今、この誤通知の件が発覚したのか?」
【あけぼの岐阜】は毎年母の日に、岐阜市で、乳がん啓発活動≪母の日キャンペーン≫を実施しています。それも、岐阜県庁と岐阜市の保健医療課の担当者との協働活動としてのキャンペーンであるのに・・・?という単純な、しかし、信じがたい疑問でした。
●そう思っていたところに、「岐阜新聞」の記者さんから電話が入りました。「あけぼの岐阜さんは、毎年検診の啓発活動を行っていますが、この記事を読まれてどう思われましたか?」「今後も啓発活動は続けていきますか?」という質問で、コメントを求められました。私はすぐには回答出来なかったので、その旨を話し、一旦電話を切ってもらいました。岐阜市がどのようにして検診結果をまとめて本人に通知しているのか、その体制・検診機関の仕組みなど、先ずは事態を正確に把握してからと思ったからです。
●すると、翌7/18、「岐阜新聞」朝刊に追っかけるような記事が載りました。
「検診結果読み合わせ怠る」――中市民センター職員、9年前から
岐阜市が2017、18年度に市のがん検診を受けた女性5人に「要精密検査」や「要注意」の検診結果を誤って「異常認めず」と通知し、うち50代の1人が16日胃がんで死亡した問題で、少なくても2010年から、検診結果の入力ミスを防ぐための市職員2人による読み合わせが行われていなかったことが、17日分かった。市によると誤通知は、職員が検診機関の結果の入力をミスしたり、市のマニュアル通りに検診結果と入力データを照合するための読み合わせがおこなわなかったりした人為的なミスが原因だった。市では結果の通知書の送付は4カ所で行われる。今回の5人のミスはすべて市内の中市民健康センターで発生した。職員が市のシステムに結果を入力するのを誤り読み合わせも行われなかったという。 これを受けて市は、保存されている14~18年度の検診をうけた延べ16万人のデータも調べ、死亡した女性を含め、肺がんと乳がん、胃がん50代~70代の5人分の入力ミスを見つけた。*今回死亡した女性は今年1月10日に胃がん検診を受診。検診機関から検診の結果、「要精密検査」と判定されたが、市は同月28日に「異常認めず」と誤った通知書を発送した。4月に医療機関を受診し、肺がんと胃がんが見つかった。女性の家族から今月10日に「検診票を見せてほしい」と求められ、ミスが判明した。
●同18日に私のコメントも短い文章ではありますが、次のように掲載されました。
乳がん検診の啓発活動などを行う県内の乳がん患者会「あけぼの岐阜」橋渡智美代表(59)=中津川市=は「検診の啓発活動しているので誤通知はショック。検診の信頼が揺らぐ」と憤る。
●“Human エラー”とはいえ、あってはならない事が9年前から見過ごされてきた事実、もし亡くなられた女性の家族が「検診票を見せてほしい」と頼まなかったら、今日も誤通知が届き、結果的に犠牲者が出ていたかも知れないとゾッとします。【あけぼの会】が社会貢献活動として30年以上続けている啓発キャンペーン、「乳がん検診を受ける事の大切さ」の意義が問われます。これからは、患者の立場として、どんなに些細でも不審に思った事は勇気を持って声を出す必要性を感じた記事でした。 橋渡智美 hashido@gifu.email.ne.jp