写真①
講演会の案内が佐野市の「広報さの」とダスキンアベニューのチラシ、栃木市の広報紙、下野新聞、読売新聞の折り込み「よみうりタイムス」、さのケーブルテレビなどで紹介されたので、一般41名の参加がありました

報告:あけぼの栃木スタッフ・草野安子

日時:2025年11月16日(日)13:30~15:30
会場:佐野市役所市民活動スペース
参加:54名(会員13名、一般41名)

写真②
ピンクリボンツリーの先生が井上先生、白衣姿が塩澤先生
後列左から二人目・栗原みどり・栃木代表

 

①「増え続ける乳がんの現状と乳腺焼灼療法など最新の治療方法について」 
 講師:塩澤幹雄先生(とちぎメディカルセンターしもつが 乳腺/外科)
乳がんは今後も高齢者を中心に増加が予想されています。喫煙・食事・運動不足・飲酒といった代表的な生活習慣要因が、がんの原因の約68%を占めるとされます。一方で、健康的な生活習慣により、がんのリスクを約40%低下させることが可能です。
 大腸がんのデータですが、たとえば、週3〜4回、45〜60分の早歩きに相当する運動を継続したグループでは、運動をしなかったグループに比べ、5年後の再発率が6%低下したという報告もあります。これは一つの参考指標となるでしょう。

「切らずに治療できる」として注目されるラジオ波焼灼療法は、エコーで腫瘍の位置を確認し、電極針から流れる電流によって発生する熱でがん細胞を壊死させる治療法です。2023年12月1日より保険適用となり、栃木県内では「とちぎメディカルセンターしもつが」のみが乳がん学会の承認施設であり、私(塩澤)が認定術者として治療にあたっています。
適応条件:腫瘍径1.5㎝以下 限局性早期乳がん、乳管がん 

②「乳がんと放射線治療」
 講師:井上浩一先生(栃木県立がんセンター 放射線治療科)
乳房温存療法=温存手術+照射
 通常分割:1.8-2Gy/回, 全乳房45-50Gy ± 腫瘍床ブースト10Gy程度
 短期照射(寡分割):2.3-2.7Gy/回, 15-20回, 全乳房40-45Gy ± ブースト10Gy程度
  短期照射は、国内でも成績・安全性・整容性に問題がないことが検証されています。 栃木県立がんセンターでは基本的に短期照射を考慮していますが、一部の生命保険会社では「50Gy縛り」のある放射線治療特約があるため、50Gy/25回を希望される場合もあります。
温存乳房照射のあらたな取り組み
 加速乳房部分照射 Accelerated Partial Breast Irradiation (APBI)
 ・切除床近傍のみの部分照射を少分割で実施されることが多い
  米国での選択規準(推奨ではなく、この規準を満たせば「考慮」可)
 ・50歳以上, 原発2cm以下でリンパ節陰性, 切除断端陰性, ホルモン受容体陽性

乳房切除後のPMRT (Postmastectomy RT) 
 乳房切除後に行う放射線治療で、局所再発を防ぎ、生存率を高める標準治療
・乳房切除+腋窩郭清 ± 放射線治療  
放射線治療には副作用や費用、緩和目的での照射など様々な側面がありますが、がん細胞の増殖を抑え、正常細胞をできるだけ傷つけずに治癒を目指す治療です。QOL(生活の質)への影響を最小限にするためにも、十分な説明と理解が不可欠です。

今回の講演会はがん患者は勿論のこと、その家族、そして、罹患していない方々にも 正しい情報を伝え、早期発見の大切さ、生きる意味・目標など多様な価値観を共有する場として、先生方のご協力を得て開催することができました。(草野)

                         

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