日 時: 令和8年7月26日(日)13:00~16:10
会 場:ふくふくプラザ(福岡市市民福祉プラザ)601研修室
参加者:60名(先生3名、会長、会員43名、一般13名)
講 師:大野真司先生(相良病院 院長)
    山口美樹先生(JCHO久留米総合病院 副院長)
    黒木祥司先生(黒木クリニック 院長)


 連日の猛暑の中、3人の先生方とワット会長をお招きして、「あけぼの福岡医療講演会2026」を開催しました。暑さのためか直前キャンセルが多く心配しましたが、先生方のご講演と質疑応答ではたくさんの質問があり、熱気に包まれた3時間になりました。

 まずは、ワット会長のごあいさつから。乳がん罹患からあけぼの会設立のきっかけ、母の日キャンペーンを始めたエピソードなど。「思ったら言う、思ったらする。思い切った人生を歩んでほしい」と熱いメッセージを送られました。

 大野真司先生「患者さんと医療者で作る治療(SDMとは)」について
 「説明と同意(IC)」が「意思決定の共有(SDM)」へと発展してきたこと。患者が見ている景色(家族、生活、仕事、容貌、将来への不安など)と医師が見ている景色(再発率、エビデンス、治療効果、生存期間、副作用など)が異なるため、一緒に考え最善の選択をすることが大切であること。SDMによって同じ治療でも患者の気持ちは大きく変わる、勧められた治療への不安や疑念は自分で納得して選んだ治療では安心や信頼、満足へと変わり、人生を支える医療につながること。
 SDMを支えるものとして、患者・家族・医療者・多職種とともに患者会がはたす役割は大きいと話されました。

 山口美樹先生「未来の治療をつくる臨床試験(治験とは)」について
 医薬品が世の中に出るまでを、基礎研究から製造販売後調査(9~17年)の中での治験がどの位置にあるか、治験と臨床試験の違い、治験のルールや流れについてわかりやすく説明がありました。治験を検討している患者や家族の声は、参加する人、しない人の本音を知ることができました。
 患者に提示する治療は担当医だけが決めているのではなく、診療ガイドラインや臨床試験結果、生活状況や身体状況、基礎疾患などを看護師やソーシャルワーカー、栄養士などと会議をして決めているとのこと。標準治療と最新の治療について、標準治療は最良の治療であり最新の治療はまだ確認が必要な治療であると考えて欲しいと締められました。

 黒木祥司先生「最新の乳がん治療と副作用対策」について
 ホルモンレセプター、Her2/neu、Ki-67、Oncotype DX、それぞれの検査結果により基本的な治療が決まること、最近では再発リスクや遺伝子異常の有無によって薬を上乗せすると再発が減少することなどを初めての方にもわかりやすいように説明がありました。最近のトピックとしてCDK4,6阻害剤による再発治療の効果と副作用、AKT阻害剤トルカプが著効した症例、2026年7月に製造販売承認を取得した経口SERDのエトカマ(カミゼストラント)についての紹介は希望が持てるものでした。
 効果のある新薬が次々とか承認されているがいずれも高額で副作用も多く、このような薬剤を使わずに済むように、早期診断早期治療が重要と締められました。

 リラックスタイムを挟んでの質疑応答では、治療、副作用、術後の運動や食事、保険、SDMに対応していない医師への対応など熱い質問が相次ぎ、時には笑いも交えながら有意義な時間となりました。

報告 あけぼの福岡代表 小西洋子 akebonofk@gmail.com

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