令和3年初日の出―焼津の浜海岸<br> 撮影:久保山温心(はると)君令和3年初日の出―焼津の浜海岸
撮影:久保山温心(はると)君
はると君は高校受験合格祈願の為、初日の出を見に行ったそうです。彼が幼稚園の時、母親が乳がんの手術を受けました。日の出と同時に一斉に歓声が上がり、めいめいがスマホのシャッターを切る音がして、手を合わせ、この一年の無事を願う情景があったそうです。私は夫とテレビに映し出された富士に登る朝日に手を合わせました。きっと日本中のみなさんがあの映像を見られたと思います。

この元日の夜、電話相談がありました。「もしもし、あけぼの会さんですか」暗い声・・・10月に静岡がんセンターで手術を受けた方からで、ステージⅣ、胸椎転移の治療の為、年末より入院して放射線治療を1月14日まで予定している。コロナ禍で、当然ながら面会はなく、TVから流れるお正月番組が気に障り、ホームページで「患者会」を検索していて、【あけぼの会】を見つけた。認定看護師さんからも「話を聞いてもらったら」と勧められたので思い切って電話しました、と少し震える声で話が始まりました。

乳がん検診は40歳から定期的に受けていたのに、一昨年はしなかった。昨年、ブラに付いた薄っすらのシミが気になって、マンモグラフィー・エコー検査を受けたら、乳房の真ん中に3.6㎝のがん見つかった。同時に胸椎転移もあり、ステージⅣとその場で言われただけでなく、緩和ケア科も受けるようにと言われた。「なぜなぜ?」「どうして?」そんなに私は悪いのか…先生に聞けないまま入院生活となった。

「星野さんは何年目ですか?」「21年目よ、私もステージⅣで先生に5年後の星野さんに会える自信がない」と言われたことを話すと、そこからまた質問攻めで1時間半ほど。ようやく落ち着きのある声になり、「退院したら【あけぼの会】に絶対に入会しまーす」と元気な声で電話を切りました。きっと〈あけぼのハウス〉に顔を出してくれるでしょう❣「待っていますからね、あなたは一人じゃないよ」 

朝日新聞の連載エッセーをまとめた「寂聴 残された日々」( 朝日新聞出版  2020/11/6)に「百年近く生きた最晩年になって、戦争時に負けないような、不気味な歳月を迎えてしまった」とコロナ禍のことを書いていました。

本当に不気味な一年、あのプリンセスダイヤモンド号から始まったコロナ元年、皆さんはどう過ごしましたか?私はお家ご飯に徹しました。夫が、会合なし会議なし会食なしで家にいましたので、料理に熱を入れ、それを写真に撮り、彩りやバランスを考えて、新しいレパートリーも増えました。新しい年の幕開けですが、今なお収束への道は遠いように思います。みんなで励まし合って、何とか乗り越えていきましょう。  kyeko@seikox.co.jp

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