私が入院中見舞いに来てくれた友人がある宗教団体に入っていて、その宗教をしきりに勧めてくれたので、退院したら彼女に連れて行ってもらおうとまじめに考えました。早朝4時から集まってお祈りをする、という。私は早寝早起き派なので、4時起きには自信があったのですが、実際に退院したら途端に、醒めてしまって、そんなものに勧誘されるとは私もバカね、で終わりました。

次に、毎朝近所の公園へラジオ体操をするために通い始めたのですが、そこで知り合いになったご夫婦が妙に親切で、一度お茶でも飲みにいらっしゃい、とのお誘い。喜んで出かけて行ったら、なんと大きな祭壇があって、やはりマルマル教でした。それで、お茶だけでは済まず、帰り道、手の中を見たら、何か持っている。今ではそれが何であったか思い出せないのですが、半意識で買っていたのです。2万円しか持ち合わせがなくて、5万円だったので、残りは公園でお渡し、で取引成立。

結局、その品をお返しして、お金は宗教の寄付(いわゆるお布施ですね)にして、とあと3万円を払わされる難を逃れたのでした。日頃偉そうに言っている私でもこうですから、日頃偉そうに言っていない温和なあなたが勧誘に負けても少しもおかしくありません。がん患者はただでも何かに「おすがりしたい」のですから。

がんの手術をしたことが知れ渡ると、親戚、知人、隣近所のみなさんから、あれがいいこれがいい、と親切に言ってくるのが世の常。中には、親切も度を越していて、ひたすら迷惑なときもあり。でも、強引さに根負けして、一回ぐらいはよいか、で判を付いたり買ってしまったりする破目になる。

あけぼの会はがん患者会でかなり名をあげている(?)ので、健康食品などの勧誘が時々入ってきます。でもそれを会員に紹介したりはしない。会員数4000のあけぼの会が、乳がんに効くという何かを会員に勧めたら、みなが買って、売るほうはすごい儲けになるでしょうが、残念ながら事務局止まり。

会員同士がその手の物品を売り買いすることも禁じています。掟が厳しくて、判明したら、会を即刻やめていただく。そうでもしないと、しめしが付きません。

がん患者の弱みに付け込んで金儲けをたくらむ、その根性が許せない。しかし、金儲けなんかではない、あなたのことを思ってなのよ、なんて言われると、つい気が緩む。私のようにお金を一度に払わないで手付だけにして、頭を冷やしてから、もう一度考えてみるのが唯一の防御法かもしれない。