16日日曜日の夕方、成田を発って、ロスアンジェルスに着きました。今回は完全に仕事抜きの旅、乳がんという三文字も忘れてボーッとするためにアメリカまで飛来してきました。でも何もしないで、朝から晩までボーッとしているのも疲れますね。人間はやはり適当に働いていないといけません。今はメールというシステムがありますから、仕事はどこまでも追いかけてきていますが。

 あけぼの会では私の留守中に今年度の追加名簿を作成していますが、6月以降約4ヶ月の間になんと625人もの入会者あり、全体で4162人、いよいよ4千の大台になりました。どうしてこんなに多いのか。ご存知のように、会ではあまり革新的な発言や活動はしていません。患者が喜びそうな温存手術が導入され始めたときもすぐには飛びつかなかった。また、抗がん剤の早期認可を求めて厚生労働省に乗りこむといった行動も未だにしていない。理由は簡単で、余分な体力がなかったからです。

 会本来の目的は、とりもなおさず、今困っている患者を助けること。電話相談に応じ、ニュースレターなど印刷物を作って、最新の情報や会員の近況報告を紹介する。これだけをするのに体力を使い果たして、他の活動にまで力が及ばない。しかし、今後はこれだけ大勢の会員の知恵と力を上手に借りて、一歩飛躍した活動ができるようにならなければ。たとえば、外部から依頼を受けたアンケート調査などに協力するとか。今まではこの手の依頼は、十分に中味も見ないで断っていました。理由はこれも簡単で、まず、会員が大勢いるというだけで便利に利用されてはかなわない。次に、設問の中に乳がん患者が触れられたくない傷をほじくるような無神経なものも含まれていたからです。それが今、ある会社のアンケート調査に1000人弱の会員(2002年以降に手術を受けた人のみ)が参加しています。

 その会社があけぼの会の真意を理解して、日ごろ物心両面からサポートしてくれているので断れなかった(端的に言うと、寄付をもらっちゃった)。調査内容は私たちが一問一問チェックして、患者のデリカシーに触るようなものや数字を出しても無意味に思えるものなどは再検討してもらって仕上げ、中に、会でも知りたい内容も加えてもらいました。入会のきっかけは?といったものです。

 私が体力に余裕がなくても全国にいる会員一人一人には力がある。そして、経験を何かの役に立てたいと願っている会員もいる。それを私が抑えるのはよくないのであります。今回のアンケート協力は、全国の会員が参加して会の活動の幅を広げる格好なチャンスになりました。新しく入会される会員の期待にこたえられるよう、25周年を終えたあけぼの会は心機一転で歩き始めました。でもその前に私はあと1週間、カリフォルニアの広大な空の下で息抜き。御免。