あけぼの会福岡支部長の深野と申します。「ワットさんのALS・(79)身も心も宙に浮いた感じ」を拝読し、福岡支部の会員さんの手記を読んでいただきたく、お送りいたします。
『 胸のシコリに気付き、病院探しを始めた時、診察を受けるなら女医さんがいいと思い、テレビや新聞で評判の女医さんの乳腺クリニックへ行きました。ドキドキしながら診察室に入ると、先生「今までに乳がんの検査を受けたことがありますか」、私「いいえ」、先生「だからこんなにジタバタしなくちゃならないんですよ」と不安に追い討ちをかけるような言われかたをしました。おまけに、検査を二度しても、白黒はっきり付けられず、大きな病院を紹介されました。
そこの先生も若い女医さんでした。検査を一からやり直して、やっと出た結果が悪性。やはり、と思い、力が抜けました。 手術は無事に終わったのですが、退院時の説明のとき、グラフを見せて私のがんの状況を事務的に用紙に書かれ「再発率30%」と告げられました。
恐怖にかられて「私はどういう気持ちで闘って行ったらいいのですか?」と先生に尋ねると、返事は無言。それでも再度「再発しても、早く見つければ、大丈夫ですよね」と聞くと、「いいえ、数ヵ月で亡くなります」との答えだったのです。その場で動けなくなりました。
これから長い年月、抗がん剤などの治療がスタートするのに、この先生とはとても一緒に頑張れないと思いました。パンフレットで見かけたあけぼの会福岡支部へ、すがる思いで電話をしました。そこで、とても親身にアドバイスをいただいて、別の病院でセカンドオピニオンを受けて、以来、その病院で安心して治療を受けています 』
この会員さんは、現在、術後1年9ヵ月、今ではいろいろ勉強されて、再発したら完治は難しいことを十分理解されています。しかし、手術直後はまだ病気に対する知識も少なく、しかも最も不安な時期ですのに、患者の切実な問いかけに対して、ドクターから「その時は一緒に闘いましょう」の一言がなぜ出ないのでしょうね。
私たちは、ドクターの言葉で一喜一憂するものです。たとえインフォームドコンセントで事実をすべて告げられても、立ち直れる一言が欲しいと願うのは、患者の甘えでしょうか?
精神的な支えがなく「身も心も宙に浮いた感じで、不安で不安で気がおかしくなりそうな人」は、再発の方にも沢山いらっしゃいます。この先の治療方針や悪化する病状を思うと、どうしても暗澹たる気持ちになり、生きていく希望を見失いそうになるのでしょうね。会長さんが言われるように、一つでいいので、何か、縋り付ける目標が必要ですね。電話相談された方は「子供のために頑張るって決めてみない」の一言に、きっと闘病の意欲と生きる希望を持たれたことでしょう。
電話相談28年のキャリアから出た会長さんの重みのあるアドバイスに感動しました。