こちらへ来て10日過ぎたというのに私の睡眠パターンは改善されていない。大体9時に寝て夜中の1時半に目が覚める。時差による目覚めの特徴は、ある瞬間クリアカットでパチッと目覚めるので、再び眠りに戻れない。デパスを飲んでもこの始末。4時頃までこうして書き物をしたりして、更に今度はハルシオンを半粒飲んで無理に寝なおすと9時頃まで眠る。しかし遂に本能が薬を拒絶するようになって、二夜何も飲んでいない。すると1時半から起きっぱなしということになって、夜明けまで丑三つ静寂の中、一人でやり過ごす。

 食事もいつお腹が空くということもなく、もっぱら日本から既に送ってあった娘の好物の白かりんとうをムシャムシャと食べている。妊婦のような食べかたなので、満腹チュウスウと時差は関係あるに違いない。昨日の日曜日はヘルパーがお休み、久しぶりに病人の頭にシーブリーズをかけて丹念にマッサージをして、いつもの丸いプラスティックの櫛でせっせと梳かして、それから肩揉みをそれでも10分くらい、大サービスをした。頭をいじってもらうとついあくびが出る。あくびを何度もしていたからリラックスしたのだろう。

 トガシさん、奮闘しましたね。夜中の2時までかけて「お知らせ欄」一気に刷新、ありがとう、重みが出ました。これでこそ全国組織のあけぼの会、ほじれば何でもありますよ。次、何を持ってきますかね。14日に富樫副会長、埼玉医大に2度目の講義に出かけるニュースはどうですか。「行って来ました」報告でもいいし。埼玉医大腫瘍内科の佐々木康綱教授に頼まれて毎年一回行き始めてもう8年くらいになりますか。最近はいつも11月なので、私が国外。それでピンチヒッターの副会長さん、立派に引き継いでくれています。

 医学生に講義と言えば、9月と10月に日本医大新丸子教室へ行って来た。60人位の学級でグループ別に一つのテーマ、例えば患者会とかセカンドオピニオンとか決めて、調べ上げて、代表が発表する。医学生といっても、極くフツーの茶髪ニイチャンと女の子、この人たちが将来気難しい日本の医者になるの?今は可愛くて人懐こい。世間の平均的若者は愛想なくて、何を言っても反応がなくて、老人は自信喪失になる。それがこのクラスの学生は少し違って、初回から微笑んでくれたり2度目には話しかけてくれる男の子もいた。

 全国15もの県支部長格の人たちがややこしい委員に選ばれたこと、歴史的ではありませんか。患者会は山ほどあっても、あけぼの会のオバサンがいいというのだから、断れない。平均年齢60でしょう。この人たちは他にも県内でのシンポジウムやピンクリボン大会に招かれて、大勢の人前でシンポジストをつとめ、滋賀など大会委員長になっている。会長もすごいけど、支部長が勢いつけてきた。会長を食ってしまいそう。でもこれが私のネガイ、ネライだったのだからいいのだ。でしゃばらないで、期を知る賢さを持っている人たち。

 子供たちはこんな生活が2年も続いているというのに淡々と病人に付き合っている。昨日は吊り上げ最中に大を漏らしてしまった。パンツいっぱいに広がった汚物を私がいたからよかったものを、いなければこの人たちが処分しているのだから、憐れ。腕の運動をさせていたとき、病人がぐずったのが聞けないといって、息子が自分の座っていたイスをソファの上に放り投げたそうだ。ソファの上でよかった。わかるわかる、投げろ投げろ。