日本からのフライトNH201は天空の向かい風をもろに受けて、30分遅れでヒースロー空港に着いた。そこまでは仕方がないのだが、そこからがいけない。同時間帯に着陸機が2,3あったと見え、入国審査所は人の山、くねくねくねった列に立ったまま、かっきり1時間、じりじり出口へにじり寄って、順番が来ると審査官の前に立ち、尋問の末、ようやく自由。そんな苦難を強いていながら、お待たせしてすみません、の挨拶もない無愛想な国。審査の台はあるのに、全部の席に審査官が座っていない。私が代わりに座ってやりたい。

 これが日本なら、すわ一大事とばかりにどっかから人が飛んで出てきて、閉まっていた窓口も開けて、ハイ次のかた(スーパーマーケットと同じね)と、とにかく早くさばこうとする。ところが国が変わればそうとは限らない。特にここの国では人が列に並んで待つのも平気なら、待たせるのも平気。そして、ここヒースロー空港の入国審査は厳しくて有名。泣く子も黙る恐怖の関門。私のパスポートのページをめくって、なんでこう頻繁に来るのか、と毎回聞かれる。「夫が英国人で、死ぬる病気で、私は日本に仕事があって・・・」

 こういうのを飛行中、有り余っている時間に‘音声ガイダンス’か何かでやってもらえないのかしら。観光目的の人は①を、ビジネスは②を、その他は③を・・・。テレビ電話みたいに顔も映して、怪しい人物は空港Aカウンターを通りなさいとか。それか、機内に審査官が乗っていれば、日本から12時間35分もあるので、ジャンボ一機分の客の取り調べはできる。私も空中にいる間だけは100%暇なので、ここでも手伝いたい。でもね、ロンドンは世界一、観光客に人気の都市らしい。だから、システムを改善する気はないみたい。

 更に空港税のこと。成田2040円に対して強気のこの国は6700円。これも世界一かと思ったら、オーストラリアが7050円で1位、2位がここ、次いでアメリカの6000円。かわいらしいのはタイの300円。最近はチケット代に含まれているので気がつかないかもしれないが、海外旅行は国を出るのに出国税を取られているのですよ。近年の原油高でサーチャージと呼ばれる超過金も払っている。運賃に原油高騰分を追加。英国往復の場合は距離が長いので、2月の設定運賃に両国空港税8740円+原油追加32,860円が加算された。

 ひるがえって、夢のある話。今回、神様の思し召しで、なんとエコノミーを買ったのにビジネスクラスに格上げしてくれた。これこそ分相応よね。単に庶民席が満杯だったというだけなんだけど、なんと言っても気分がハイクラス!ANAにこれだけ乗っていれば、たまにはこういう展開もあっていいんじゃない。席がゆったりしているのと、食事の合間にうどんラーメンの類がいつでも頼めるのがエコノミーにはない饗応。着陸2時間前に起こされて出る軽食の代わりに、熱々きつねうどんを食べた。一杯の機内うどんで幸福な私。

 象印電気ポットがおみやげ。電気屋さんに強い下川さんに英国対応を買って来てもらった。ボルトを心配したがOK。今このデスク端に鎮座して役を果たしている。子供たちも喜んでくれたのでまずは成功。1月に訪ねたバルセローナの伴田家で見かけたので真似をした。見なかったら思いもつかなかったから伴田さんに感謝。いつでもお湯のあるリッチライフ。

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