朝日ホール満杯の30周年総締めくくり

 10月第2週末、12日は30周年記念最後の大会、会場はいつもの朝日ホール。あけぼの会がこのホールで毎年10月に全国大会を催すようになって、今年で何と17年目、これはすごい。女の患者会がこれだけ超一流会場をいつもそこそこ満杯にして使いこなす、これがすごい。最初は裏方さんに怒られたり(素人だったので一寸バカにされたりして)口惜しい思いもしたが、もう常連顔なじみ、歓迎して、頭を下げてくれるから、この違いもすごい。来年はどの週末か、大会終了後電話で聞いてきて、1年先を抑えてくれるからすごい。

 今回は勿論、特別なので、補助席も追加してもらって770席。いつもの岸さんの司会で時間通り始めて、私がまずごあいさつ。自分で勝手に感極まって泣き出してはならないと誓って話し始めたのだが、家族の話をしていたら声が詰まってしまった。8月にイギリスを去る時、娘が「ごめんね。今はダディのことで手一杯でマミーのお祝いに行ってあげられなくて」と心からすまなそうに言う。重病の夫を子供たちに押し付けて日本へ逃げ帰っている本妻の私こそ、ごめんね、を言わねばならないというのに、先を越されてしまった。

 その子供たちが粋なサプライズをプレゼントしてくれた。大会レギュラーの永六輔さんが話の途中で、紙を取り出して「これを読むんでしょ」と読み始めた。誰も何のことかわからない。メッセージは「ロンドンは日に日に寒くなっています」で始まった。あれれっ?「記念大会に行かれないからロスにいる令子おばさんに代わりに行ってもらいました」と続くと、何とそこへロスにいたはずの妹が突如現れたではないか。イヤーびっくりしたな、もう。完全想定外。大衆の面前だったことも忘れて、身内で抱き合って泣いてしまった。

 その時まで私に極秘で、娘や妹と密に連絡を取り合っていた事務局の富樫さんも、緊張がほぐれて、思わず泣いていた。会場も一瞬、驚きで、みなが息を止めた。が、すぐに、どっと沸いた。なんという憎い演出!演出好きなこの私でも考えなかったのに。それにしても富樫団長を始めとする事務局スタッフの口の堅さも見上げたもの、なんでも見抜くはずの会長が出し抜かれた。思えば、25周年大会の時も夜のパーティ会場に、バンコックにいたはずの娘が孫を連れて現れた。あの時もスタッフは結束して上手に隠し通した。

 私と10才違いの妹はロスで事業を始めてやはり30年になる。大会2日前に来日、浜松の親友の所に潜伏していたという。会場に着いても、私がいるから奥の控え室にも来られず、居場所がなかった。「会長はブルーのドレスを着ているから、ブルーに気をつけて」と何度も念を押されて、震えていた。彼女は心細さから解放されて、泣いたのだろう。

 関連して、神のお告げか、不思議現象が起きていた。私と事務局スタッフは3日連続行事のために虎の門パストラルで2連泊することになっていて、11日からホテル入りして1泊した。真夜中に目覚めて、今夜もパーティのあとにここに泊まるんだけど、考えてみるとタクシーでホテルへ帰るも、自分の家へ帰るのも同じことだから、朝、荷物を宅急便で出して、ホテルは引き上げようと決めて、翌朝、私だけ予定変更、チェックアウトした。結局、その夜、妹を連れてすんなり家に帰ることになったのだから、これはお告げよね?