「SUDOKU」をこちらで始めて目にしたとき「読み」から日本語だと推量したが、その漢字がわからず、「素読」しか浮かんでこない。しかし数字に素読は合わないし、と迷っていたら「数独」が判明した。ミラノのレナータ空港で待ち合わせ時間があったので、初めて購読「SUDOKU」本。説明は全部イタリア語だがルールはわかるので始めた。が、全然前へ進まない。そして、日本に帰って、あたりを見回しても誰もスウドクの話はしない、そのままこちらへ持ち帰って、再度挑戦を始めたのが私の数独秘話。難儀だが征服感あり。

 目下、イギリスでは大流行と見え、各新聞にクロスワードとともに「その日の挑戦」が載っていて、翌日は解答が載るので、決まった新聞を連日買って徐々に数独中毒になる。私はもっぱら「インデペンデント」という新聞に決めている。これには3枠あって、初級、中級、上級、と難易度が分かれているので、2,3度初級のみ繰り返し、今は中級まで何とか登ってきている。もしも世に「数独愛好会」があるなら、会員になりたい。最近富みに若年性アルツの傾向が見えてきているから(もはや若年ではない?)これで悪化予防。

 スコットランドも好天で3日の旅で少し日焼けした娘が帰ってくると、その夜は夫と息子と3人で輪になって報告会。私は眠いので、お先に失礼、と別宅へ帰って寝てしまった。いつも面倒くさいことは人任せ。こんな無責任な私にも少し財産分与があるのかしら。佐渡の母が老人ホームへ入るとしたら、最低2500万円の入居金が必要だとか、それに月々いくらかかかる。あの田舎でさえもそんな大金が要る。老後まで生きる予定をしてなかったいい加減な私にはそんなお金はない。これでコロッと死ねなかったらどうしよう。

 息子の友達のお母さん(日本人)が私が英国に来ていることを知って「ぜひ会いましょう」と誘ってくれた。ロンドンの銀座みたいなピカデリサーカスの‘ロンドン三越’前で待ち合わせ、銀座三越が懐かしい。彼女とは日本で知り合ったが、さして深い付き合いもなく別れたままだった。夫の国へ移住して、早や10年を過ぎた。チャイナタウンで飲茶を突っつきながらおしゃべり優に1時間。チャリングクロスという駅から急行で35分の郊外の大きな家に住んでいる。その家にも招かれたので、英国郊外ライフを覗いてくる予定。

 「逢びき」の人妻は買い物と映画観賞に週一ロンドンに出てきたが、彼女はジャパンクラブで毎週火曜日、ブリッジをしに通っている。優雅だなあ。そして、私に「あなたブリッジしないの」と聞いて、次に「マージャンは、ゴルフは」と立て続けに聞く。私、何もしないのよ、(仕事だけ)。バカみたい。貧しい人生ね、だから私の一生には幅がない。テニスもできないし、よって皇族とも行き会うチャンスもないまま、もう人生大半終わってしまった。 私の楽しみって、じゃあ、何なのだろう。あけぼの会?数読?ヒッチコック?

 貧しい私の人生にも時に一条の光がさす。先日あの大宅映子さんからFaxが入って「ご主人どう?」超多忙有名人のあの人が夫の病気を忘れていないで尋ねてくれるなんて、私って恵まれているのよね。数いる女評論家の中でもおしゃれセンス抜群。テレビのコメンテーターしても安心して聞いていられるし、何より母上の昌さんが乳がんサバイバー。