最近、立て続けに入る電話は、入院待ちの間が不安でどうしていいかわからない、というもの。当然です。告知から入院までの期間、長いところでは3週間もあるのですから。その間、どうしたらいいか、気が変になります。がんの手術を控えて待機している。心配で何も手につかない、待っている間に、がんが待ったなしで進行して手遅れになるのではないか、など不安は膨れるばかり。気が休まる要素はどこにもない。
といって、あけぼの会に電話をしてもらっても「あなた、仕方ないのよ。全国的にみな順番待っているのだから、待つしかないのよ」という薄情な返事しか出来ない。おまけに関東地方、今や「梅雨入り」。すると、日本列島、半分以上は連日の曇り空に小雨。このうっとうしい梅雨は台風よりたちが悪い。いっそ、激しく吹いたり降ったりしてくれたほうがまだ力が湧いてくるというもの。梅雨は健康人でもふさぎたくなる時節です。
あけぼの会が作りたくて作れないものに‘駆け込み寺’があります。がんの不安で家にじっとしておられない人たちが、いつでも訪ねて行かれる場。そんなお寺、名付けて‘あけぼのハウス‘を作りたいのです。私の人生最後の大仕事、どうか実現に力を貸してください、みなさん。
まず、家賃や諸経費で、お金が要ります。篤志家のみなさん、お金をどんと寄付してくださいませ。そうすれば、すぐに作ります。がん患者は病院の治療だけでは不十分、家と病院を橋渡しするような施設が絶対不可欠なのです。入院待ちしている間、そして退院してからも一人で家におられないという人たちが集まってホッとする、そんな<魂が憩える場>がほしい。私が私の頭で考えるようなことは誰か別の人が考えてくれているはずなのに、こういうハウスが現実にない。
私の出身地、佐渡島では最近、佐渡市になって格好はいいのですが、人口は減る一方で、しかも故郷の廃家みたいな家があちこちにありそうなので、すぐにも出来ると喜んだのでした。が、「作っても、わざわざ日本海の孤島まで来るかしら」と中学時代の同級生は鋭く言って、熱海あたりが最適なのでは、とまあ別の候補地を提案するのです。熱海だって、別にいいのです、温泉もありますしね。全国から行きやすいところなら、どこでもいいのです。
ああ、こうして書いている間も日本全国、がん不安症で夜も眠られない人がいっぱいいるはずなのに、誰もその人たちを救ってあげられない。国策が貧しい、としかいえませんね。私、いよいよ参議院選にでも打って出ようかしら。
どうか、これを読んでいる待機患者のみなさん、何とか耐えて、気を強く持って、入院日が来るのをひたすら待っていてください。人生で最大の困難ないっときをあなたは耐え忍んでいるのです。あなたは偉い、あなたはすごい。