最前列左から:有本(前代表)橋本(元代表)、佐古田先生、会長、三好先生、川野代表、永橋先生、宮内先生、河野先生

高山美春(あけぼの兵庫・副代表)
akebonohyogo@gaea.ocn.ne.jp

日時:2024年10月26日(土)
会場:神戸大学医学部会館シスメックスホール
参加:188名(会員60名・一般128名)
講師:河野 範男先生(済生会中津病院 乳腺外科顧問)
   佐古田洋子先生(加古川中央市民病院乳腺外科 科特任部長)
   永橋 昌幸先生(兵庫医科大学 乳腺・内分泌外科 准教授)
   宮内 啓輔先生(みやうちクリニック院長)
   三好 康雄先生(兵庫医科大学 乳腺・内分泌外科 教授)
   山本真由子先生(神戸大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科)

盛会に終わった記念講演会
 みなさんのおかげで【あけぼの兵庫】創立45周年記念講演会は無事に終えることができました。私達にとって、場違いともいえる学会仕様の神戸大学医学部会館シスメックスホールでの講演会、300人収容のホールに一体何人が来て下さるのか、ハラハラドキドキしながら当日を迎えました。
 いざふたを開けてみるとなんと180人を越える人が集まって来て下さり、会場が程よく埋まりホッとしました。県下のがん相談支援室にチラシを配布したのが効を奏したようです。「講演会を運営してくれたスタッフがみんなで楽しみながら動いていたのが良かった」とワット会長から、お褒めの言葉をいただきました。この一言が今後に繋がる励みになりました。

【講演会の部】
「愛と使命感で続けた45年」
 患者同士が集まるきっかけを作られ、それがあけぼの会誕生につながり、乳腺専門医のドクターが顧問医になってくださり相談会や講演会を行う関係を築かれてきたワット会長の存在を改めて大きく感じた講演でした。
 全国に「あけぼの会」が広がり、45年続けられた今もなお、活動に対する情熱と使命感を失っていないと力強く会場の参加者へ語られました。
 反面、インターネット、SNS等の普及により患者会の存在を案じられており、今後の患者会活動を考える一石を投じられました。PINNACLE・アジア太平洋会議に出席された写真、クアラルンプール訪問の報告とともに、あけぼの兵庫の活動写真も紹介していただきました。

神戸発!「涙で乳がんを検出」
 「涙で乳がんを検出」を研究されている㈱TearEXO CEO堀川諒様に講演していただきました。なぜ涙なのか?涙は人の体液の中で嫌悪感のない体液であり、涙液中の細胞外小胞(エクソソームとも呼ばれます)を迅速・簡便に測定し乳がん検査をもっと身近なものに、日常生活の中で乳がん検査が特別なものではなく、いつでもどこでも検査は受けられる社会を目指されています。一方、検査を受ける側だけが簡便になったら良いのではなく、その検査結果をどのように治療、医療側へ繋げるのかというステージに進む話をしてくださいました。そして2025年6月には大阪・国際万博に一週間出展される話をされ、そこでの「涙で乳がんを検出」の研究発表が待ち遠しいと思えた講演でした。あけぼの兵庫はこの研究に協力しています。

「大きく変わる乳がん最新治療」
 あけぼの兵庫顧問医・永橋昌幸先生は、乳がんの発生のメカニズムから、乳がん治療の3本柱(手術、放射線療法、薬物療法)、最新の薬剤と「乳がん」全般の話をしてくださいました。乳がんのタイプによって選択できる治療法、化学療法と分子標的薬の治療法の違いなどスライドとともに、丁寧に話してくださいました。大きく変わる乳がん最新治療の薬剤としてAKT阻害薬トリカブ・抗HER2抗体皮下注射フェスゴ・抗体薬物複合体エンハーツのお話もしてくださいました。副作用の少ない治療法の進歩により、患者一人一人に、より適した治療の実現が可能となる嬉しい未来の話とともに、私たち患者側も自分に適した治療法は何かをドクターとともに選択できる時代になってきたと感じた講演でした。

【パネルディスカッション】
「ヘルスリテラシー~患者力を高めよう~」
 ヘルスリテラシーという言葉を聞いたことある、知っている人の挙手から始まったパネルディスカッション。これからの治療はドクター任せではなく患者側も一緒に治療法を決定していく時代に向かっていることから、先生方が患者さんへ望むこと、会場の患者側が先生方に望むことの意見交換が行われました。
 壇上の先生方も「患者さんが理解できるところまで何度でも話さないといけない」「不安に感じること、わからないことは主治医だけでなく、看護師や薬剤師にいつでも相談したら良い」などお話してくださいました。
 会場からは「忙しそうだから、聞きづらい」「冊子を渡されたけど、よくわからない」など不安な気持ちを伝えられ、ドクターと患者が「協働」で治療法を選択、決定していくのは簡単なことではないと思わされました。それでも、「まだまだ長生きをして孫に逢いたい、逢いたいから、そのための治療法をドクターと話して決めた」という話が出ました。
 乳がんになったけれど、将来したいこと、行きたい場所、自分がどのように生きていきたいか等を考え、その為にはどういった治療が最善なのかドクターと話したらいい、と前向きな気持ちで、パネルディスカッションは終了しました。参加者の皆さんから「患者力を高めるヒントがつかめたような気がする」との声が聞けたので、パネルディスカッションの成果はあったと思います。

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