Tsutako Kikui(あけぼの会副会長・あけぼの滋賀代表・<br>滋賀県がん患者団体連絡協議会会長)Tsutako Kikui(あけぼの会副会長・あけぼの滋賀代表・
滋賀県がん患者団体連絡協議会会長)
今年、がん免疫薬「オプジーボ」の基礎となる研究成果で本庶佑氏がノーベル生理学・医学賞を受賞。がん患者にまた一つ希望が灯りましたね。今や「がんは治る時代」と言われますが、がんはそんなに甘い病気ではないとがん患者は知っています。 

”あなたはがんです”と言われた時のショック。長い経過観察。人生設計のやり直し。再発という二文字が時折にょきにょき頭をもたげてなかなか消えてくれないそんな日々の繰り返し。国はがん患者の相談支援体制として無料で誰でも相談できる「がん相談支援センター」を全国のがん診療拠点病院に設置。そしてピア・サポートの普及を謳っています。

あけぼの会はこれまでの40年の歩みの中で、ワット名誉会長さんの強い信念で「目の前の困っている患者さんを大切に!」とピア・サポートの活動を積み重ねてきました。今では全国で乳がん患者さんが集える<あけぼのハウス>が開かれています。再発治療中の方だけで集まるところもあります。私自身もあけぼの会で多くのピア(仲間)に出会い、支えられ、勇気と希望を紡ぎ再発を乗り越えてきました。あけぼの会のモットー「再び、誇り高く美しく(こころも)!」を地で行っているひとりです。

SNSは見たい時に見たいものだけを見て、一方通行で簡単。だけど、なんか味気ない。あけぼの会は深野会長を中心に、これからも温かいまなざしや言葉がけ、いっしょに笑って泣いて考えてくれる人のぬくもりにこころの凝りが溶けていく。そんな<あけぼのハウス>を目指します。

先週、滋賀県で行われた<あけぼのハウス>のこと。 前月開催した講演会に参加された若いお母さんが、“会員さん同士の集いにも参加したい!”と、赤ちゃん連れで来られました。妊娠中に乳がんと診断され、おなかの中にお子さんがおられる状態で治療をされ、無事に出産された方です。ぱっちり目のかわいらしいお子さんを抱っこして、“この子がほんとによく頑張ってくれました。”と嬉しそうに話されました。” これからいろんなことに挑戦していきたいけれど、自分が乳がんであることをどこまで話したらいいのかわからないので皆さんにお聞きしたいと。“どんなに心配されたことでしょう。よく頑張られたね”とこころの中でエールを送りました。もう一人は抗がん剤治療が始まる前に、体験された方の話を聞きたいと参加されました。参加者全員でいろんな体験を聞き合い、知恵を交換したあっという間の2時間でした。

ひとりで悩まず、乳がん患者さんと出会うこと。前を行く人の姿を目にすることはきっとあなたの「こころの治療薬」となると思います。
 今週は神奈川、秋田で開催されます。詳しくはイベント情報の予定(カレンダー)をご覧ください。お待ちしています。
      菊井津多子 kikui@crux.ocn.ne.jp

●巻頭メッセージ
今後は原則週1回の更新で、会長、副会長×4人と和崎で、順番に受け持っていく予定です。
次回は、星野希代絵副会長が担当します。 どうぞご期待ください!