ツツジは静岡県の花に制定されています<br>静岡市ツツジ通りにて 2019/4<br>撮影:星野希代絵(あけぼの静岡)この美しいツツジ!静岡県の花です!
静岡市ツツジ通りにて 2019/4
撮影:星野希代絵

 先月22日、静岡市立清水看護専門学校にて、全校生徒さんと先生方138名を前に、私の体験をお話ししてきました。2時間の長丁場でした。テーマは「広い視野から物事を見つめ、豊かな人間性を養う」。
 1年、2年、3年生と全学年に向けてなので、内容を絞るのが難しかったのと、2時間も持ちこたえられるのかが大きな不安でした。乳がん体験だけでなく、30歳代の全てを費やしたと言える「不妊治療」、そして、結局、その治療に効果はなかった体験も織り交ぜて話しました。 

「看護師の一言で元気をもらったこと」逆に「一言に傷ついたこと」、それがどういう言葉だったのか、を話しました。みなさんが関心大で、手ごたえを感じました。また、昨年8月に乳がんで亡くなった清水市出身の漫画家、さくらももこさんの話を絡めながら、女性が生涯に乳がんを患う確率は今や11人に1人、決して特別な病気ではなく、誰でも罹りうることを強調しました。

 さくらさんの育った街、清水では昨年より各所で<さくらももこ展>が開催されています。みなさんもよくご存知のテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」は28年間も放送が続いています。主人公・まる子のモデルはさくらさんご自身だそうです。
 新静岡駅〜新清水駅まで<ちびまる子ちゃん号>が走っています。ちびまる子ちゃんの声で「次は新清水〜」「気を付けて降りてね〜」という車内アナウンスに、子どもたちが手を振って降りていく光景は心あたたまります。
 さくらさんは乳がん治療中も亡くなる少し前までも、地元の清水を愛して多くの作品を残しています。40代半ばから治療を受けながらも仕事のペースは落とさず、いつも穏やかな笑いのある温かい漫画を描き続けました。普通に過ごすことを大切にしていて、ごく一部の人にしか闘病のことは知らせずに、病気と静かに向き合っていたそうです。
 2011年3月、さくらさんは東日本大震災の1週間後に、まる子が花畑の中で涙を浮かべながら「きっと大丈夫だよね。ニッポンも」と語る内容の4コマ漫画を新聞に描きました。この「きっと大丈夫、ニッポンも」の「も」の中に、自分の病気と日本の回復とを重ね合わせて、自分自身を励ましていたのかも知れません。胸が痛みます。

 248番目の新元号「初春の令月にて、気淑く風和ぎ。梅は鏡前の粉をひらき、蘭ははい後の香を薫らす」という万葉集の序文の一部が史上初めて選ばれたそうですが・・・ 「令和」という美しい調和の時代に第126代の天皇陛下がご即位されました。どのような時代になるのか、心がうきうきします。私たちも品性豊かな心をもって過ごしていければいいですね。   星野希代絵 kyeko@seikox.co.jp