キーワードは「知識は武器」「エビデンス」<br>ーー岡山県立烏城高等学校でのがん教育 2019/10/23<br>キーワードは「知識は武器」「エビデンス」
—岡山県立烏城高等学校でのがん教育— 2019/10/23
今、新型コロナウイルスで世界中が大騒ぎです。コロナウイルスが未知のものだから怖いのですよね。それは、がんを怖がるのと少し似ていませんか?

私が、がん教育の必要性を強く感じたのは、今から10年以上も前のことです。
当時、私の英語の先生であるジャマイカの若い男性が、「自分の生徒で乳がんになった人がいるがどうしても手術を受けようとしないのでとても心配だ」と話しました。 彼は、医療先進国である日本で、手術や抗がん剤が怖くて受けないという人がいるというのはとても不思議だというのです。
もっともな話ですが、私はそれよりも、医療者でもない30代の独身の男性が乳がんについてとても詳しい知識を持っていることに驚いたのです。

してそんなに良く知っているのか尋ねましたら、彼は、「あ、学校で習ったよ。普通高校の授業の中で。前立腺がんとの相違点まで詳しく習って、自己検診のやり方も習って、女子も男子も一緒にやってみたんだ」と、こともなげに言いました。 その様子に、そうなのだ! 私はこのようにごく普通にがんの話がしたかったのだと思い至りました。 

ひるがえって、日本では、医療者でもない私たちは、いままで学校教育の中でがんの話を聞いたことがあるだろうか? 病気になって初めてがんと向き合い、オタオタしながら治療を受ける中で自分なりに勉強して知識を得る。それが当たり前だと思っていましたが、「世界は違うのだ!」とその時、強く感じたのです。
学校で健康教育の一環としてがん教育をすべきだと当時のがん対策関連会議などでも発言した事を覚えています。

でも、ゲーム感覚の子供たちに何を一番に伝えるべきか?悩むところです。
まずは、ゲームでも戦うには武器が要る。がんも同じで、その武器は知識であり、しかも正しい知識、エビデンスのある知識こそが武器なのだと強調して伝えたい。そんな思いから「知識は武器!」というキャッチフレーズができました。

詳しい医学的な専門知識はお医者さんにお任せして、私たち体験者は、なぜ知識が必要なのか、その知識をどのように利用するのかをお話するのが役目と思っています。 それが私の目指す「がん教育」です。   宮本絵実 akebonookayama@yahoo.co.jp