再建、特に人工物に寄る再建についての情報を求めておられる方が多い現状に応えて、急遽、岩平佳子先生(医療法人社団ブレストサージャリークリニック院長)に最新情報をお尋ねしました。
Q:再建についての最新の動向を教えてください。
――昨年のアラガンインプラントクライシス以来、薬事承認に向けて動いていた米国Mentor社のアナトミカルインプラント(しずく型)の日本への参入が無期延期となりました。元々Mentor社のみならず、インプラントの会社は欧米では美容豊胸が売り上げの主たるものなので、コロナの影響で世界中の豊胸手術が激減したことで、会社自体の経営が厳しくなり、日本に関わるまでの会社の体力が持たないのが理由のようです。
現在、Sientra社のアナトミカルインプラントが薬事承認に向けて動いてはいますが、保険適用に至るまでにはまだ時間がかかりそうです。また、例えこれが使えるようになっても、結局以前の「Allergan一社しかないからダメなんだ」といわれていたように、会社が変わっただけで同じ結果になってしまうということです。
Siehtra社のものはアラガンに比べて種類も少ないので、日本へ参入のために担当者と日々、デザインを増やすべく打ち合わせしていますが、まだ生産もされていません。
Q: すでにエキスパンダーを入れているのに、何もしてもらえないままの患者はどうすれば良いのでしょう?
――エキスパンダーが入って1年以上経っている患者さんがまだ1000名以上いらっしゃるという話も聞きます。エキスパンダーは1年以上入れておいていいものではありません。エキスパンダーの位置、形で厚い被膜が形成されてしまうと、その後どんなインプラントを入れても、きれいな形になりにくいのです。
しかし、現在保険適用のsmooth roundインプラントに経験のない乳腺外科医や形成外科医の中にも偏見が強く、患者さんに勧めていないのが現状です。要は選び方、入れ方の問題で、smooth implantでもきれいな再建は可能です。smooth roundインプラントの被膜拘縮率はザラザラのものと10年で2%しか変わりません。
▲再建に関して、岩平先生にご質問のあるかたは:askiwahira@iwahira.net