・2014年6月のこと、ほんの気まぐれで、9年ぶりに市の乳がん検診を受けました。3週間後、市から「要精検」のお知らせが来たのです。まさに晴天の霹靂、びっくりしました。26年も経っているのに乳がんのはずがない、間違いだ、と思いました。

いつもの乳腺クリニックに飛んで行ったら「石灰化がある、半年後再検査に来るように」と言われましたが、不安で、別の病院でマンモトーム検査を受けました。私は26年前に左側を全摘していて、術後17年目までは定期検診を受けていましたが、そのころC型肝炎が 見つかり、その治療の方に気が行っていました。

・マンモトーム検査はかたい寝台にうつ伏せになり乳房を穴から出し、それを台の下からマンモグラフィのようにはさんだ状態で、画像を見ながら針で細胞を取り出す検査です。部分麻酔するのでそんなに痛くはないですが、40分ぐらい顔を横に向けてじっとしていなくてはならないので、それが辛かったです。終了後、バストバンドで24時間、胸をぎゅーっと抑えて止血しました。(検査料:保険3割負担で25,310円)結果、悪性の非侵潤がんと判明、11月4日に手術してもらう病院に行きました。

・私の場合①最初若くして乳がん(37才)、②26年後反対側にも見つかり、③近親者(叔母)が乳がん、と3つのリスクがあるので、遺伝子検査を受けることを勧められました。「もしBRCA1&2に変異があったら温存しても、また乳がんになるか確率が65%、卵巣がんになる率が45%あります。手術方法も温存にするか全摘にするか決められるし、全摘の場合、再建するかどうか決めることができます。卵巣の手術は?卵巣がんは見つかりにくいし、わかった時は手遅れの場合が多いです……」と、せっつかれている感じでした。

以前に、講演などで遺伝子検査のことを聞いて気にかかっていました。娘2人、妹2人、女の子の孫が3人いるので知っておきたいと思いましたので、まず遺伝子カウンセリングを受けることにしました。

・11月19日、遺伝子カウンセリング。カウンセラーの方と家系のこと、家族の事、親族の病歴、検査の結果どのようなことがわかるのか。それによっての気持ちの整理、家族にどのように話したらいいか、手術方法を決める参考になる、など1時間ほど話をしました。そのあと担当の先生との面談でも検査を受けることでの精神的影響、メリット、これからの生き方に与える影響など説明を受けました。かなり高額でしたがやはり「知りたい」と思い検査を受けました。(遺伝子検査・自費:248,400円)

12月15日、BRCA2に変異ありと判明。今後乳がんになる可能性65%、卵巣がんになる可能性15%でした。手術が1週間後の12月23日に決まって、それまでに温存か全摘か再建をするか、卵巣の手術はどうするか、決めなくてはなりませんでした。

一方のC型肝炎の方です。それまでインターフェロン治療を2回行いましたが効果がなく、今年新しい薬が出たらまたチャレンジできることに決まっていました。私としては乳がんの心配を完全になくして肝炎の治療に専念したいと思いました。

・再建はおおよそ考えられませんでした。26年前の左側も同時に再建することになるので、そっちの皮膚が簡単に伸びるとは思えないし、いま63歳、再建の意義があるか?また卵巣がんも心配ですが15%、これなら定期的に検診を受ければと思いました。あとは手術法です。両側全摘は辛いなあと思っていましたが、じゃあ何の為に遺伝子検査を受けたのか、受けた理由を考えたら全摘しかないと思い、決心しました。

・12月23日全摘手術、術中にセンチネルリンパ生検をしました。非浸潤がん、リンパの郭清なし、結局、新しくできた乳がんで、転移ではなかったことに一番安心しました。入院7日間、術後4日目にドレーンが抜けて次の日退院。手術関係の費用は55,770円、差額ベッド代(個室)210,000円、合計265,770円でした。自分でシャンプーができるほど手も上がり、痛みも26年前とは格段の違いでした。しかし、喜びも束の間、その後、浸出液が傷の下に溜まり、針で抜いてもらいに病院に通うことに。計6回も通って、やっと止まった感じです。

退院後最初の診察では、両方乳腺がないし、リンパの転移もないので薬は何も飲まなくていい、乳がんに関しては何も心配することはありません、と言われホッとしました。

今回遺伝子検査を受けると決めた時、娘二人は賛成してくれました。検査を受けて、自分としては納得して手術を受けましたが、50%の確率で遺伝するということを伝えて、娘、妹たちは不安に思っているのではないかと心配しましたが、めいめいきちんと受け止めてくれたようです。私はこれからの人生を前向きに進んで行きたいと思います。(2015年1月28日)

バナー広告

コム・クエスト

共同文化社

とどくすり