<AYA世代の乳がんになって>
・2006年、35歳の夏、乳がんの告知を受け、闘いが始まりました。長男が6歳、長女は3歳でした。不覚にも、それまでは、がんは自分の親世代の病気だと思っていました。 右わきに小さい痛みを感じて近所の婦人科を受診したところ、「誰でも痛くなるよ。乳がん検診はここでは出来ない」と言われて、納得いかない嫌な気持ちで帰りました。乳がんに関して全く無知だったので、乳がん検診は外科ということも知りませんでした。
そしてその数日後、娘を寝かしつけている時、娘の頭が胸に当たった瞬間、痛みが走ったので、触ってみると1センチ弱のしこりがありました。長男の幼稚園の近くのK病院で検査を受けたところ、乳がんでした。幼い子供を二人抱えて、これからどうなるんだろうと不安でいっぱいになりました。
母からは「早く手術をしないとひどくなる」と言われるし、夏休みの間に手術をしないと子供を預けるところが限られていたこともあり、R病院で、普通の外科の先生に乳房温存手術をしてもらいました(乳腺専門医ではなく・・・専門医の事は後になってから知りました)。
当時、既にセンチネルリンパ節生検がなされるようになっていて、説明は受けたのですが、R病院ではまだ実施していなかったので、MRI検査をして、リンパ節が少し腫れていると言われ、すっかり焦って、取り敢えず、リンパ郭清もしてもらいました。幸い、わきには転移はなく、ホルモン受容体は陽性。その後、放射線治療、リュープリン注射を2年、ノルバデックスを6年服用しました。
ステージは、「本来ならⅠだけど、ギリギリ‘若年性乳がん’に入るから、ステージⅡになるかなぁ」と言われました。リンパに転移もなかったのに何故「ステージⅡ」になるのか、30代の若年性だからかと、はっきりわからないまま、先生にも確認しませんでした。
・2007年、母が取っておいてくれた「神戸新聞」の切り抜きで【あけぼの会】の存在を知り、すぐに入会しました。13年前のこと、乳がんの情報をどうやって集めたらいいのかさえわかりませんでした。入会して、色々な情報も得ることができ、皆さんにはいつも親切にしていただきました。子供連れで行事に参加することもありました。
長男小学2年、長女が幼稚園年中の時に【あけぼの会】が「母の日キャンペーン」のメッセージを「朝日新聞」に出したときに、全国から会員の家族写真を募集して、その時、私と私の子供たち、3人一緒の写真もモデル親子に選ばれて掲載されました。生涯の記念になりました。
<離婚・そして再発>
・2014年、43歳の時に離婚しました。理由は、それまで子供たちも小さかいから専業主婦でいた私ががんになり、治療費がかさむことになり、家計が大変になったのに、夫は自由になるお金がたくさん欲しい人だったので、お金のことで言い争うようになり、しっくりいかなくなったことでした。乳がんは手術をしたら終わりではなく、その後何年も飲み続けるお薬や検査費用にお金がかかることがこの時になって初めて知りました。
・その半年後、毎年受けていたPET―CT検査で無数の黒い小さな影が見つかり、まさかの再発!胸骨傍に4~5個、そして鎖骨にも2~3個のリンパ節転移がありました。手術してもらった先生は転勤されていて、再発を告げた先生は「僕ではどうしていいか…」という(頼りない)感じだったので、思い切って転院することに決めました。友達が看護師をしていたS病院で、そこの乳腺専門医Y先生に診てもらうことになりました。この頃は【あけぼの会】のお陰で知識が身についていましたので慌てずに対処できました。
<再発の治療開始>
・2014/10月 最初はノルバデックスを処方されました。
その後に左鎖骨に自分でもすぐにわかるほどのしこりを見つけて、抗がん剤治療に切り替えました。
・2015/9月 TS-1です。私には最悪の副作用でした。何を食べても砂を噛んでいるような感じがして食べられなくなり、
目のかすみが取れず、走れなくなりました。体重が6キロぐらい減ったため、「もう無理です」と先生に伝えて、効果の有無を確かめる前に止めて、
次の薬に替えてもらいました。
・2016/2月 ゼローダ&エンドキサンに。胸骨リンパ節転移は全て消えて鎖骨だけになりました。多少の副作用もありましたが、
しこりが小さくなってきたので、2年ちょっと服用しました。
・2018/5月 UFTとノルバデックスに変更。しこりも小さくなったことで、もう少し身体に優しい薬にしようということになり
UFTにしました。が、血尿やむくみ、体重増加などの症状が重なったため→
9月 アロマシンに替え、その後→
10月 新薬CDK4/6阻害剤イブランスに。 イブランスにしてからは、むくみがひどくなったので、
糖尿や腎臓の検査をしましたが、異常なし。今までの薬に比べて、あまり気分が悪くならなかったのに食欲も出てきて、
少しずつ太っていきました。それなのに、残念ながら、しこりがまた大きくなってきました。
・2019/5月 再びゼローダ&エンドキサンに戻す。しこりは少しずつ小さくなってきています。私の再発には、この薬が合うようです。
11月 ゼローダだけに。副作用は、また血尿や突発性難聴になりかけて耳鳴りが したりしているので、エンドキサンを止め、
ゼローダ単剤で様子をみています。
●思えば、2006年に始まった私の乳がん闘病の歴史、13年にもなるのですが、最初は何の知識もないまま、言われるままに手術を受けて、病院も3つも替わり、私生活でもいろいろ困難がありました。でも今、こうして生きているので、感謝の気持ちでいっぱいです。生活がかかっているので、今は働き続けることを前提に、身体に比較的優しい飲み薬の抗がん剤を選択しています。 後編につづく→1月15日に掲載予定です。お楽しみに!