「中村先生、時々、上向いて、姿勢よくしましょう」<br>  ―――とモト会長さんが言ってます<br>  「とてもよいお話でした」とも <br>撮影:山口智枝子(あけぼの神奈川会員)  「中村先生、時々、上向いて、姿勢よくしましょう!」
―――とモト会長さんが言ってます
「とてもよいお話でした」とも
撮影:山口智枝子(あけぼの神奈川会員)
【あけぼの神奈川】公開講演会
2019/11/17(日) at「ウィリング横浜」(横浜市上大岡駅直結)
講師:中村清吾先生(昭和大学医学部乳腺外科教授・昭和大学病院ブレストセンター長)

【あけぼの神奈川】では毎年2~3回開催している公開講演会、今回のタイトルは「乳がんにおけるがんゲノム医療―遺伝性乳がんも含めて」、講師にもテーマにも関心が高く、10月中には定員70名が満席になりました。

最初にワット名誉会長のスピーチがあり、全国大会の様子、ピンクライトアップに込めた「3つの祈り」やライトアップされた各地の写真や裏話など巧みな話術で。新会員や非会員の方にも会の目的、想いをわかっていただけたのではないかと思います。

そして本番、中村先生の講演、のっけから、ホットニュースが飛び出しました。(少し難しい言葉ですが)つい先日、11/13日付でBRACAnalysis診断システムのHBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)検査適用について「生殖細胞系列遺伝子変異解析プログラム(罹患リスク判定用)」が設定され、製造販売が承認されたとのこと。4月に大規模な健康保険の改定がなされますが、これから中医協(中央社会保険医療協議会)で、乳がん患者に対してHBOCかどうかの遺伝子検査(BRCA1/2)や対側の予防的切除、卵巣卵管の切除について保険収載に向けて審議されるとのことです。  

HBOCの方は発症が10年~15年若いことが多く、対側に再発することも多いので、HBOCと分かれば治療や検査も異なるとのこと。保険適用になれば、検査や予防切除を諦めていた方、迷っていた方もできるようになり、治療も簡単になって命を失うリスクが大幅に減ることはもちろん、トータルで考えると医療費削減にも繋がるというお話でした。一日も早く臨床で保険が使えるようになって欲しいと切に思いました。予防的に薬剤を服用することの研究も行われるようです。何とか救える患者を救いたい、乳がん死を減らしたいと先生が厚労省に働きかけ、懸命に努力されてきた情熱、HBOCのことに力を入れていらっしゃるお気持ちがよく伝わってきました。              

お話の中に難しい箇所もありましたが、がんゲノム医療について、個別化医療や研究のための医療データの集積について、乳房再建インプラントによるリンパ腫について等いろいろと理解を深めることができました。少し長い講演にも、参加者はみな、先生の言葉を聞き漏らすまいと真剣に耳を傾けていました。

最後にいつも通り「質問会」を行いました。パネル検査について、組織検査が難しい場合、HER2 については血液検査ができることや、HER2( 1+)や(2+)でも使える新薬のお話等も伺うことができました。一人一人を大切に考えての誠実なお答えに先生のやさしく温かいお人柄を感じました。医学が日々進歩していることを再認識、希望が持てるお話で、中身の濃い勉強会になったと思います。   牧野葉子 akebonokanagawa@gmail.com