満員御礼!会場内は熱気であふれていました<br>撮影:原ゆみ子(あけぼの鳥取会員)2019/11/24――講演会からこの形式で座りましたーー
みなさん、ちょっと真面目そう。リラックスしてくださーい!
撮影:原ゆみ子(あけぼの鳥取会員)2019/11/24
“リンパ浮腫講演会 ㏌とっとり”

at米子コンベンションセンター第7会議室(2019/11/24)   
講師:田端 聡氏(がん研有明病院リンパケアルーム看護師)

 このたび、公益財団法人俱進会の助成をいただき、【あけぼの鳥取】は講演会を開催しました。会場は、94名の患者・家族・医療従事者と会員12名で満員となりました。この講演会は、昨年入会した田端久美子さんが、術後、患側の上肢の腫れに困り、東京のがん研有明病院・リンパケアルームまで行って治療を受けたことがきっかけです。県内でのリンパ浮腫治療の情報は皆無に近く、これについての知識を得る機会が無いのが現状です。県だけでなく、山陰で術後の浮腫に困っている患者が沢山いるのではないか、との思いが実現につながりました。

 先生のお話:「リンパ浮腫」とは、リンパ節を郭清したり、放射線照射でリンパ液の流れが閉塞することでリンパ液が滞るために起こるむくみ(浮腫)のこと。乳がんだけではなく、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの手術の後遺症の1つで、完治は難しいのですが、日常生活での注意やケアの仕方次第で良好な状態を保つことができる。全ての患者に起こるわけではなく、疾患によって浮腫が出現する時期も違い、乳がんでは手術後2~3年以内が多い。国際リンパ学会では「リンパ浮腫の進行度の段階(0~3期)」を定めており、2016年4月からリンパ浮腫の複合的治療(リンパドレナージ[リンパマッサージ]、圧迫療法、運動療法、スキンケア、日常生活指導などを組み合わせた治療)が保険適応となったことなど、とても優しい口調で、リンパ浮腫全般について初歩的なことから教えていただきました。
 また、リンパ浮腫は、完治が難しいという認識を持って「起こる前の予防的ケア」と「早期発見」が大切で、早い段階で気づき治療することや症状を見極めながら生活の質を保つことが大切であること。そのためには医療従事者や同じ悩みを持つ仲間とのコミュニケーションをはかり、確かな情報を得ることや日常生活上の工夫を行って、リンパ浮腫と上手に付き合うことが大切、と言われました。
 村田陽子先生と加藤麻美・乳がん認定看護師には、今まで知らなかった‘リンパ浮腫外来’について紹介していただき、身近に相談窓口があることがわかり良かったという患者さんの声も聞かれました。会員の体験発表では術後リンパ浮腫を発症し、現在に至るまでの経過や、どうしたらいいのか困った思いを話してもらいました。来場者の半数以上が患者や家族でしたので、中には同じ思いをされた方もおられたのではないかと思いました。  

 最後のおしゃべりコーナーには全体の約半数が参加され、8テーブルのグループディスカッションで、患者・家族を中心に看護師・理学療法士が入り、会員がコーディネーターとして進行しました。「気持ちを話すことで皆の状況が少し理解できた」「グループに分かれての情報交換はとても参考になった」などの感想があり、「時間が足りなかった」という意見も多くありました。今回の講演会で、推測通り、鳥取・島根(山陰)でも術後のリンパ浮腫に困っている人が沢山いることがわかりました。遠く香川県から3人の会員さん、乳がんだけでなく他のがんで浮腫に悩んでいる患者さんの来場もありました。

 講師の田端 聡先生は、がん研有明病院のリンパケアルームで月に1回「リンパカフェ」を開催され、その代表も務めておられます。こうした相談会などで、患者が自分の気持ちを話したり情報交換することが重要であり、加えて、医療従事者のサポートが必要とも言われていました。改めて〈あけぼのハウス〉の意義を再認識しました。これからもみんなと力を合わせて、継続していきたいと思います。  

 最後に、村田先生をはじめ鳥取・島根(そして香川)の【あけぼの会】会員はワット隆子(名誉)会長に会えるのを楽しみにしていましたが、お会いできなかったことがとても寂しかったです。    友森一美(あけぼの鳥取 代表) rieo@aurora.ocn.ne.jp