みなさん、真剣に聞き入ってます<br>撮影:石山晶子(徳島会員)2019/12/7みなさん、真剣に聞き入ってます
撮影:石山晶子(徳島会員)2019/12/7
・2019/12/7(土) 13:30~16:30
・at 青藍会館(徳島大学医学部・大会議場)

年に1度の勉強会は今回で32回目になりました。朝から、山は雪?のようなどんより曇った寒い日だったのですが、定員70名の会場に会員33名、一般55名が押し寄せて満席、寒さを吹き飛ばしてくれました。

第1部の講演はリムズ徳島クリニックの小川先生による「リンパ浮腫に対する圧迫療法~どのような圧迫方法が有効か」から始まりました。去年の講演会のリンパドレナージの方法や実演に続くお話です。リンパ浮腫は一度発症すると完治は望めないものの、セルフケアすることで悪化することを防ぐことができることがわかり、たくさんの弾性着衣も見せてくれました。

徳島大学先端酵素学研究所の片桐先生はゲノムという言葉も知らなかった10年前から難しい内容をかみ砕いて毎回お話してくださっています。今回のテーマは「治療抵抗性乳がんに対する治療薬の開発」。抵抗性になる仕組みやブレーキ機能を活性化することによる新しい乳がんの治療薬の開発についてのお話で、これがHER2陽性、ハーセプチン耐性乳がんにも効果あるそうです。まだ研究段階ですが、この新薬ができたら乳がん予防薬にもなるそう、実現が待ち遠しいですね。

徳島大学の川中先生のテーマは「乳がんの放射線治療」。放射線治療はがんの治療や、緩和的放射線治療として大きな役割を果たしています。徳島大学病院では体の外から放射線を当てる「外部照射」と、体の内側から、がんやその周辺に放射線をあてる「内部照射」が行われているそうです。来年4月からはトモセラピーも導入され、複数の方向からの放射線に強弱を付けて、がんの形態に合わせて集中的に照射する強度変調放射線治療が可能になるといううれしいニュースも聞かれました。

第2部は 術後4年・7年・16年の【あけぼの徳島】の会員がそれぞれの体験を語りました。主治医から「泰然自若としていなさい」との一言で積極的に治療に臨めたという話。「運命と思うありのまま受け止め そしてこれからなんくるないさ」と詠み、がんと向き合った話。また、体表面積を知るためにトイレットペーパーを体に巻いて測ったという話には、体験者ならではの必死さが伝わってきて、場内が湧きました。納得して治療を受けることで辛い副作用も乗り越えられたと締めくくりました。

★感想――乳がんになったあと、一歩ずつ歩んで自分自身を取り戻したそれぞれの体験は共感の時間でした。毎年講演会を開き感じることは、医学の進歩はもちろんですが、患者の知識が豊富になっていて、自分の病状や治療法について、かなり専門的な知識で理解し把握していることです。 「知識は生きていく希望の灯」という言葉を信じて、これからも学びを大切にしていきたい、とつくづく思った今年の講演会でした。  宮城 慶 awa_akebono@yahoo.co.jp