「当たり前のこと、周りの人に対して感謝の気持ちを忘れないで」<br />志比道栄住職「当たり前のこと、周りの人に対して感謝の気持ちを忘れないで」
ーーー志比道栄・住職(吉祥寺)
・日時:2021年9月25日(土)
・参加:吉祥寺で20人(スタッフと会員のみ)
    オンラインで56人(会員+ネットワーク会員+一般)

講演1「乳がんの最新治療」
――乳がんは個別性の高い分野であり、専門性の高い先生に診て貰う事が非常に重要
 講師:岩田広治先生(愛知県がんセンター中央病院副院長兼乳腺外科部長)
①ゲノム医療
 遺伝子パネル保険承認(2019.6.1~)も1年半経ち、検査の一つとしてLiquid Biopsyによる検査で何が変わるか⇒色々、発展性が期待できる  
 ・がんの組織がなくても採血で検査可能(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)  
 ・複数回の検査が容易になる  
 ・治療によって遺伝子の変化が起きた場合もその変化をとらえることができる  
 ※地域間格差があり、出検できる病院数は愛知県16、岐阜県6、三重県1
②HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)の保険適応から1年、現状は。  
 ・適応のある方に遺伝学的検査を勧めるべきだと分かっているが忙しい外来の中で、 全員に話しをするのは無理
 ・検査の話をして難しい質問されても応えられないので、患者さんから質問されない限り、話しをしない
 ・そもそもHBOCの方自体そんなに多くないので、よっぽど家族歴のあるような方に話しをすれば大丈夫じゃないか
 ・自施設でリスク低減手術ができないので、話しをしない
 (リスク低減手術の施設基準が厳し過ぎてどうにもならない)
 どうしたら標準治療診療になるのか?
 ・医療者、患者さん、一般市民の方の意識改革が必要――制度をよく理解する
 ・病院、地域での体制整備した上で実践あるのみ!
⓷最新臨床試験の状況
 Trodelvy(Trop-2ADC)トロデルヴィ
 抗体薬物複合体(カドサイラ、エンハーツと同じ)と呼ばれる製剤で、アメリカでは既に転移、再発TN(トリプルネガティブ)乳がんで承認されている
 ※日本での開発は2022年1月か2月から開始される(施設限定)
 キイトルーダ
 ・PD-L1陽性ホルモン受容体、陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん対象で点滴静注
 ・他の抗悪性腫痬剤*併用となる(*ゲムシタビン及びカルポプラチン、パクリタキセル又はnabパクリタキセル)
④Oncotype Dxの保険適応でどう変わる(2021年中には適応される)
 ・ER陽性、HER2陰性患者の術後に、抗がん剤治療が必要かどうかの判断にOncotype Dxを広く用いるようになる

講演2「コロナで世の中変わりました、乳がんへの取り組みも変わりました」     
    ―検診を控えたり検診を受けないことでがんの早期発見が遅れている―
 講師:二村学先生(岐阜大学医学部附属病院臨床教授・乳腺外科科長)
ワクチン接種による医療への影響
①・検診…ワクチン接種前に行うか、2回目接種後6~10週空けて受ける事を推奨
 ・全身麻酔手術…アメリカ、イギリスでは数日後空けて受ける事を推奨         
         但し、緊急はこの限りではない。(岐阜大学病院では1週間空ける)
 ・歯科・抜歯…ワクチン接種3回以上前に行うか、接種後1週間以上空けて行う事を推奨
 ※乳がん術後にワクチン接種する場合は反対側の肩や大腿(太もも)勧める
②ワクチン接種に伴うリンパ節腫大について
 ・接種後、特に2回目接種後に接種した側の腋窩リンパ節が腫れることがある
 ・抗体を作る為に免疫機能が働いている兆候で心配ないが、1か月続く場合がある
 ・乳がんの検診、術後フォローで診断を受ける際には必ず接種日を伝える
 出来るだけ傷つけず、乳がんを治す試みとして…ラジオ波焼灼療法(RFA)
 ・全身麻酔でおおよそ1時間内、入院3泊4日、患者申し出医療で行う。
 ・保険診療と併用して先進的な医療が受けられ、自己負担おおよそ50万、がんをピンポイントで刺してラジオ波で焼く。
 遺伝子検査と同時に健側乳房切除と再建・予防的卵巣切除も保険適応される
  但し、施設限定⇒学会からの報告(2021.8.16)アラガン社の報告を改変
インプラントによる乳房再建、豊胸手術を行った場合の注意
 ・BIA-ALCLについて各国規制当局は無症状の症例のインプラント予防的抜去は推奨していない。(BIA-ALCLとは、乳房再建手術や豊胸術で乳房インプラントを挿入した患者さんのインプラント周囲に生じる稀なタイプのリンパ腫のこと)
 ・学会要件基準に従い、定期的な診察と2年に1度の画像検査を断続するとよい
 ・BIA-ALCLの症状は、インプラントの周囲の腫れ、疼痛、左右非対称、乳房や腋窩のしこり、発赤、胸の硬化、潰瘍などが報告されている
 ・インプラント埋入症例に対し、上記のような症状がないかセルフチェックを行い、症状がある場合は医療機関を受診する
 ・BIA-ALCLの発症、疑いのある場合は保険診療・自費診療を問わず、日本オンコプラスティックサージマリー学会への報告を行う           hashido@gifu.email.ne.jp

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新聞記事に掲載されました!・・・毎日新聞(2021/9/27)中日新聞(2021/9/26)岐阜新聞(2021/9/26)