・日時:2021/10/31(日)
・講師:黒木祥司先生(黒木クリニック院長・顧問医)
・タイトル:「最新の標準治療(初期・再発)」―乳がんの性質に応じた治療と問題点
・参加:31名(会員28名、ご家族3名)
この度、【あけぼの福岡】では<講演会&相談会>を2年ぶりに開催しました。
◆初期治療の術後補助化学療法は、ランダム化大規模臨床試験で科学的に効果が証明されている。抗がん剤治療が適応の人は、術後にきちんと治療すれば、確実に再発を減らすことができる。吐き気やだるさなどの副作用は数カ月、脱毛もせいぜい1年、再発しないことが最大のQOLと信じて治療を受けましょう。
◆再発治療のホルモン陽性乳がん治療は、CDK-4/6阻害剤(イブランスやベージニオ)の登場で以前より明らかに改善したが、白血球減少や下痢、吐き気、間質性肺炎などの副作用と薬価が高いのが問題。長期の治療になるので身体的経済的負担が大きい。従来のホルモン療法も十分効果があるので、それで出来るだけ粘りましょう。
※例えば、アロマターゼ阻害剤が無効になったとき、タモキシフェンが有効なこともあるので試してみる価値がある。
◆次々と新しい治療薬が開発されているが、いずれも高価。高額医療費制度があるにしても、長期に及ぶので、毎月の家計への負担も大きい。
・CDK-4/6阻害剤+内分泌治療の価格(体重50㎏/4週間):イブランス483,000円、 ベージニオ483,000円、フェソロデックス78,000円。組み合わせ使用では561,000円。
・内分泌療法の価格(4週間):タモキシフェン1,200円、アリミデックス8,900円、 フェマーラ10,895円。
◆相談会では、例えば、薬の変更を提案された人には、副作用や治療効果、薬価のこと、先生の臨床経験などを基に具体的に分かりやすいアドバイスをしていただきました。
――久しぶりに会った再発治療中の仲間10名は、終了後も輪になって情報交換、マスク越しに会話が弾んでいました。皆さん、次回の再会を約束して笑顔の帰宅をされました。
★治療を続けるには、仕事やお金の問題は避けて通れません。困ったことがあれば一人で悩まず、各県の「がん診療連携拠点病院」などに設置されている「がん相談支援センター」に相談するのも一つの方法と思います。 akebonokai.since1978@gmail.com