AKEBONO NEWS No8に掲載された記事です

 私にとっての昨年〈2023 年〉は、予想もしないことが起きた年でした。7 月に、毎年1 回行っている主治医の定期検査を受けた際、対側の乳がんが見つかったのです。幸い、5 ミリの早期発見でした。
 「またかー、なんで3 回もがんに」(30 代後半1989 年に乳がん、その20 年後に甲状腺がんになり、毎年1 回検診を受けていた)と思いましたが、ショックはなく冷静に受け止められました。
 それは、私が1994 年から2021 年3 月まで丸26 年間、埼玉の代表を務めて、その間、いろんな患者さんの話を見聞きして、中に、同じような対側乳がんの方の体験も聞いて予備知識があったからだと思いました。
 検査の結果、ホルモンの効くタイプ、HER2 マイナス、グレード2、リンパ節転移なし、原発の乳がんでした。(小さいけど顔つき微妙)

手術は全摘を選ぶ
 先生とは何でも自由に話せる雰囲気だったので、私は全摘希望を伝えました。娘も心配して、先生から検査結果を聞くときには同席してくれました。
 そして、8 月下旬に手術。手術の前日入院して、術後4 日で退院、という速さと術後の痛みも少なくびっくりしました。30 数年前とは大違いでした。
 手術を待つ間、以前から家族で予定していた夏休みの九州旅行や長野行きを実行、ゆっくりと子供や孫たちと楽しい旅をしてきました。

オンコタイプDX 検査を受ける
 何しろ、3 回目のがんで、70 歳も過ぎているので、手術後は、今後の治療の選択や、子供達への遺伝などが気にかかっていました。
 ちょうど(2023 年)9 月からオンコタイプDX 検査(乳がん組織の細胞の21 の遺伝子の発現を測定する)が保険適用になり、私のタイプは、その対象になっていることがわかったので、検査を希望しました。
 なぜなら、この検査結果で、再発の予測や質の悪さなどを知って、今の年齢での治療の選択をしたいと思いました。
 結果は、再発スコアと9 年後の再発率、共に低い内容と出て安心しました。治療は、ホルモン剤のみの服用となりました。

BRCA 検査も受ける
 子供達への遺伝について調べるBRCA 検査(血液検査)については、娘に、遺伝性検査についての意見を聞きました。この検査については、遺伝性があるという結果が出ても、予防切除をすることも出来ないし、不安を抱えて過ごすことの辛さがある事も考えられたからです。

娘のきちんとした考えに驚く
 娘は「検査は受けてほしい、万一、結果がよくなくても、自分で検診をきちっと受けるようにするし、変だと思ったときには、すぐ専門医に行けるから……」と言われ、検査を受けることにしました。私の取り越し苦労は無意味で、娘の方がしっかり考えていて感心しました。それでも、結果が出るまではマイナスのことばかり想像して、とても不安でした。
 検査結果は、陰性で、遺伝性はなし、との事、ホッとしました。何の検査でも、結果待ちの時は悪いことばかり想像して、ただ不安になりますね。誰もが、こんな風だと、他の人から聞いていたのですが、私も全く同じでした。

信頼できる主治医でよかった
 今回、がんになって、主治医が丁寧に説明、話を聞いて、いろいろ教えてくださいました。信頼できる先生が主治医でよかったと感謝しています。【あけぼの会】で多くの知識を得ていたので、自分の考えもきちっと伝えられたことも、よかったと思いました。また、医療の進歩、検査の大切さ、お金もかかりますが、安心度が違うなと思いました。

検査費用を安くしてほしい
 特に、オンコタイプDX の検査が保険適用になり、適切な治療が受けられるようになったことは、ありがたいと思いました。しかし、保険適用でも、まだまだお金がかかるので、もっと安い費用で、誰でもが普通に、この検査を受けられるようになったらいいなと思います。

生き方を考える機会になった
 今回の経験で、ワット会長さんの前向きな言葉や姿、【あけぼの会】で勉強できている事、大久保真弓(埼玉)代表はじめ信頼できる仲間がいたこと、多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいでした。
 対側乳がんになったことで、自分の人生の優先順位、これからどう生きたいか、など考えるいい機会になりました。今は、毎朝、主人と犬の散歩、こんな普通の日常を大切にして、元気に過ごしています。

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