報告:宇田川光子・ABCEF東京メンバー
東京都荒川区で行われている「がん予防授業」に2012年から参加しています。「小学6年生にがん体験を話す」というものですが、がんという重い話をどのように話したらよいものか。「おっぱい」という言葉を使っていいのか、「死」という言葉は恐怖心を与えてしまうのではないか、当日まで迷いました。でも、体験談だから、ありのまま感じたことを話したい、と思いました。
「がん予防授業」を始めるに当たって、保健所の方々にはかなりのご苦労がありました。小学生にがんの話という提案を、学校に理解をしてもらうのに、何度も足を運んだそうです。かなり画期的なことだったのです。私は、とても素晴らしい企画、特に「がん」について全くわからない子供たちにこそ体験談を聞いて欲しい、と思いました。
一部はクイズ形式でがんの知識を学び、肺がんなどがん全般の勉強をし、二部で体験を。体験を話し出すと、児童たちは真剣に身を乗り出して聞いてくれ、まっすぐ受け止めてくれているのを感じ、この子たちは子供じゃない、と心に染みてきました。「死ぬのは怖いですか?」と直球の質問には、逃げずに「はい、とても怖かったです」と本音を答えました。「僕は入院したことがあって、とても怖かったです」という子に「大人でも入院は怖いものだから、きっと怖かったと想像します」と理解を示し、「私のおばあちゃんも乳がんで、今日お話を聞いて、おばあちゃんもこんな気持ちだったんだろうなと思いました」との女子の言葉には感心しました。
色々な質問に答えながら、初めての出会いだったのに、距離がぐんと近づいた感じがしました。最後には「お家に帰ったら、お母さんやおばあちゃんに今日の話をして『検診を受けて』と言ってみてください。みなさんからお願いすれば、きっと聞いてくれると思います」とおねがいします。