太宰府の梅が満開です<br>撮影:深野百合子(あけぼの福岡)太宰府の梅が満開です
撮影:深野百合子会長
競泳女子のエース・池江璃花子さんが白血病を、タレントの堀ちえみさんが口腔がんを公表され、日本中が驚きました。特に若い池江さんは、「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています」と、完治を目指した決意表明をされて、感動しました。お二人とも、これからの治療を無事終えて、再び元気な姿を見せて欲しいとみんなが願っています。

ところで、今の「乳がんキーワード」をご存じですか? 英語で、「De-escalation & Escalation」。エスカレーション、昇降するエスカレーターのようなものだそうです。昨年の九州大会(2018/7/29)で、大野真司先生(がん研究会有明病院・副院長/乳腺センター長)の基調講演「世界の乳がん治療は今!」の冒頭の言葉でした。その一部をご紹介いたします。

「無駄な治療はできるだけやらないことをディ・エスカレーション(De-escalation)、治療効果を高めるためいろいろなお薬を使うことをエスカレーション(Escalation)といいます。De-escalationの代表は手術で、10年毎に縮小し、今、世界では『薬でがんが消えたら手術をしない、早期がんであれば何もせずに様子を見る』という臨床試験が行われています。手術の縮小は、お薬が良くなってきたからで、日本の乳がんで使える薬は30個を超えています」
「しかし、薬は高い。月に数十万、分子標的薬は100万円ちかくお金がかかり、全部高額医療費になり、月々の患者の負担は大変なものです。今後は、治療は、効果だけでなく、副作用などのリスクやお薬代などのコストのことも考えて患者にとっての価値を選択すべき・・・・」と問題提起もしていただきました。

また、2010年シカゴで行われた「日米乳がん体験者の座談会」の話にもありました。日本から2人の参加者(富樫美佐子・あけぼの会副会長と新川由利子・あけぼの静岡副代表)の質問「再発告知後の心のケアは誰がどのようにしていますか?私達は再発と言われて呆然と外来で立ちすくんでいたんですが…」に対して、「それはボランティやピアサポーターの役目」との答え。アメリカでは「医療者は再発を伝えること、正確なことを話して、心のケアは体験者がするのが当り前」に、あの頃既になっていたんですね。

日本では、がん相談支援センターなど病院主導で、ボランティアの役目にはなっていませんね。しかし、2010年にスタートした〈あけぼのハウス〉(←クリック)は、乳がん相談室として、体験者が心のケアの一端を担っていると思っています。 体験者と会って話したい時など〈あけぼのハウス〉を思い出してください。全国の〈ハウス〉で皆さんのご参加をお待ちしています。

深野百合子 akebonofukuoka@gmail.com