●富樫さんが、また聖路加病院に舞い戻りました。先般の退院にはかなりの無理があったと私は腑に落ちなかったのですが、何のことはない、本人がどうしてもお家に帰りたかったんです、と白状しました。それならしょうがない。問題は大量の水を点滴で注入して、やっとCa値をあの数に抑えていたのに、自宅では点滴ができないので、口からのみ。最初の2日間は一日2リットル、3日目からは1リットルしか飲めなくなっていた。

●じっとしていて、水だけ飲むのは拷問でしょう。それでやはり数値が上がってしまい、また激しい倦怠感で終日寝てばかり、になっていた。退院時の条件は二つ、水と週2回の通院。16日通院第1回目。朝10時30分に入って夕方4時半までかかって点滴を済ませた。通院2回目の19日木曜日、車を降りても、ふらふらして歩けないくらい。それでも自分で歩いて辿り着く、ベンチに座っているのが辛くて横になりたいが横にもなれない。我慢しているとナースが来て、やっと助けてくれた。

●点滴室のベッドに横になって順番を待つことしきり。やっと番が来て、見ると、なんと血圧が70しかない、Ca値も15、ここで、即刻入院が決まった。我慢強いのも問題よ、富樫さん、遠慮してはダメ、車寄せに車椅子を持ってきてもらえばよかったのに、なんてまた私が怒っている。かくして、再度の緊急入院になりました。7階の病室に落ち着いて、水を始めたら、すぐに血圧が90台に上がった。人間の体って、機械と同じ。機械に油を注すがごとし。お家にもっといたかったのにね。でも安心できるところがいい。

●さて、私は予定通り、18日午後成田着。成田エクスプレスを待つ間に時間があったので、ソーメンなんか食べて、ここは日本だなあ、と感嘆する。車窓をつらつら眺めるに、成田を出てすぐ辺りの緑と瓦屋根の家々のたたずまいが、静寂の日本画の世界。成田はクソ遠いと文句ばかり言っていたけど、もし初めて来日する外国人が見たら、おとぎの国と思うでしょう。日本の木々の緑は深みがあって、その重厚さは格別。そして、5月の田んぼ、苗がそよいでいる。整然たる美しさ、外国にはない見事な光景。

●夕方家について、シャワーを浴びて、老猫を抱っこして、テレビを付ける。夜中になっても目がランラン、今度は日本時間との時差であります。でも日本サイドはすんなり解消していくので、あまり苦痛ではありません。ただセロトニン?のせいか、妊婦のごとく休みなく食べ始める。それもご飯、ラーメン、うどんを一挙に、というように。ただの欠食児童みたいなものか、向こうで食欲がない分、詰め込む感じでがつがつ食べる。いつものことなので、楽しんでいる。2週間で2キロ痩せていた。すぐに取り返すのだが。

●帰国の翌日からすぐに職場復帰、私も不死身ですねえ、その日、富樫さんの緊急入院が判明、「疲れたから明日行くね、でも来てほしかったら部屋番号教えて」「712号室です」えっ、これってすぐ来てってこと? 2週間ぶりのご対面をしました。実は今日また部屋替えがあり「732号室です」。全国のみなさん、会いに行ってあげてくださいね。

●肝心の私の病院行き?まだなんですよ、みなさんに心配だけ掛けて、人には「あんたダメでしょう、さっさと行きなさい」なんて言うくせに、だらしない。