昨日は2週間に亘ったイースターホリデー(学校はお休み)最後の金曜日。キリストの復活を祝う復活祭は日本にはないが、欧米では国の祝日、イースターマンデー(4月13日)はバンクホリデーと呼んで、会社も官庁もお休みだった。孫を映画に連れ出すことにした。もうお気づきかと思うが、私は孫のことを殆ど書いていない。概して子供が好きではないので、書きたい気が起きない。しかし、一応オバアチャンなので、仕方なしに決めた。子供映画に付き合わされるなんて、一生の不覚と思っている。映画は「Hotel for Dogs」。

 孤児となった姉と弟が不親切な夫婦に引き取られていたが、犬のフライデーをこっそり飼っていた。ある時、その犬が廃業になったホテルに入って行くので付いて入ると、なんとそこには他に犬友達が住んでいた。町で見つけた捨て犬を次々拾ってきて、そこは犬御殿のようになった。ある時、見つかってしまい一斉に捕獲され処分されると決まった時、孤児の保護司がテレビや町の人たちに向かって、この子供たちが多くの犬の命を救ったことを讃え、最後はこの姉弟、フライデーともども保護司夫婦に引き取られるという話。

 渡英前に渋谷で「マーリー」を観てきた。あれも犬が主人公だが、犬の話というより、犬と人間の深い絆を描いたヒューマンドラマ。マーリーは犬の名前、ラブラドールの子犬(処分値札付き)をペットショップで買って帰る車の中で、ラジオから流れたボブ・マーリーのレゲエに反応したので、その場で決まった。「Marley and Me」が本と映画のタイトルだが、副題に「世界一どうしようもない犬」と付いている。1昨年、こっちで書評を読んで、すぐに買ったのだが、英語なので、未だに読み終えないまま、持ち歩いている。

 お話はタイトルから誰もが想像できるものだが、単純すぎて退屈かというとそうではない。ジョン・グローガンという売れないジャーナリストがフロリダの新聞社に雇われて、コラムを任されたとき、何を書いていいかわからず、迷った挙句に、やんちゃ犬マーリーの話を書き始めたのだった。それが読者に大人気となり、この地方紙の購買部数が一挙に増えたという実話。その後、単行本になると、これもベストセラーになった。(私も生涯に一冊、売れる本を書いて死にたかった。が、才能はこれどまりらしい。さみしい実話)

 エリザベスが昨日4時過ぎに電話口で突如泣き始めた。彼女のいとこの一人が急死したと、別のいとこが知らせてきた。すぐに帰らせてあげたが、いとこはまだ60歳、死因は定かではなかった。ヘルパーにもそれぞれ、人と絡み合った人生があることに気付かされた。

 昨日は終日雨だったが、今日は朝から初夏の日差し。娘と孫はオックスフォードの叔父(父親の弟)夫婦の家に遊びに行った。市内からバスで1時間かかる。デージーという29歳のウガンダ人ヘルパーが10時から2時までの4時間来て、5時からいつものへレンが来る。

 ヘレンは病人の部屋に入るとすぐにまともに話し始める。これがありがたい。普通に扱ってくれるのがうれしい。二人で静かに夕食を食べながら、一体いつまで持つのかしらね、と私が切り出した。何にも余り興味を示さなくなったけど、このまま案外長く生きるのでは、と言う。そうね、と答えたが、心中では「長く」っていつまで、と困り果てている。