ぷっくり可愛い!ピンクリボンパンぷっくり可愛い!ピンクリボンパン①パンの魅力 
 上越で生まれ、小さい頃からパンが大好きでした。給食のコッペパンが楽しみで、東京に進学すると焼きたてのフランスパンに出合い、さらに夢中になりました。
 そして「自分でおいしいパンを作りたい」と思い、教室に通いました。ホームベーカリーがブームになった30年ほど前のことです。
 すぐにパンの魅力に引き込まれました。なぜ、そんなにハマったのか?同じレシピで作っても、同じ出来上がりにならないからです。その日の気温や湿度、ちょっとした焼き加減で味が変わります。次はもっとおいしく焼こうと思い、次々と焼きたくなるのです。
 夫の会社の社宅でパン教室をスタート。夫の転勤で上越に引越し、そこでも社宅で教室を開きました。社内の奥様方にも好評で、社宅のあちこちでパン作りが始まりました。 
 パンは好きですが、パン屋さんになろうとは思いませんでした。手作りのパンが焼き上がった後、感動する生徒さんとおしゃべりし、一緒に試食するのが私の何よりの幸せだからです。

②生きがい
 新潟市の自宅でパン教室を開いた翌年、体に異変を感じました。胸にしこりを見つけたのです。
 30代で乳がんになりました。すぐに右胸全摘リンパ郭清にの手術を受けました。そのとき、一番気になったのが「パン教室を続けられるのか」ということでした。
 手術で手が上がらなくなったらどうしよう・・・。生きがいだった教室に復帰するため、懸命にリハビリに励みました。退院後、すぐにパンをこねてみました。良い生地ができてホッと胸をなでおろし、主治医の先生に出来たてのパンを食べてもらいました。 
 しかし、術後12年目に肺などに転移していることが分かりました。教室を続けようか迷い、生徒さんに相談しました。「体調が悪い時はもちろん休んでいただいて結構ですが、ぜひ続けてください」と励まされました。
 乳がんのステージ4で、今も治療を続けています。がん経験者でつくる【あけぼの新潟】の代表として、みんなで支え合っています。多くの人に励まされ、今の私がいると感謝しています。

③パンは発酵食品

 乳がん患者会の集まりで、体験者として患者さんの悩みを聞くのですが、よくある質問が「どんな食べ物を食べるといいのでしょうか」というものです。
 私は、いろいろなものを偏りなく食べるのがいいと思っているので、特別なことはしていません。ただ、添加物の多そうなものは手作りしています。 
 梅干しと味噌、パンは手作りにこだわります。とはいっても、味噌は1年に1度仕込むだけですし、梅干しも漬けてしまえば、三日三晩の土用干しをするだけ。味噌は1月にまる1日かけて仕込みますが、前日に浸水したものを圧力鍋で煮てフードプロセッサーでつぶし、プラスチックの食品保存容器に漬け込む今どきのやり方なので簡単です。  
 この三つとも発酵食品ですが、なぜかパンだけはそう思われていません。
 発酵検定のテキストにも「パンも実は発酵食品の一つ」と書かれています。世間ではパンは発酵食品だという認識がありません。不思議です。

④自粛生活を楽しく 
 新型コロナウイルスの影響で、パン教室も残念ながら休講となりました。この間に、勉強したかった米粉パン作りを通信教育で習いました。  
 今どきの通信教育は、YouTubeを見て、自分で作ったパンの写真をチャットで送り添削してもらうのです。2カ月で資格を取得。今後は小麦アレルギーの人にもパンのおいしさを伝えたいです。
 自粛期間中にスーパーへ買い物に行くと、バターや強力粉、イースト菌が品切れになっていました。ホットケーキミックスや生クリームも・・・。外に出られないので、皆さん自宅でパンやケーキを手作りしているんだなと感じました。生徒さんからも、おいしそうなパンの写メールが届きました。
 新型ウイルスは多くの悪影響を及ぼしましたが、悪いことばかりではありません。私もこの時間がなければ米粉パンを学べなかったですし、多くの親子が一緒にパン作りをする機会はなかったかもしれません。この自粛生活を通じ、手作りの楽しさに気付いてくれる人が増えたらうれしいです。