日時:3月16日(日)
会場:ウィリング横浜9階研修室901号室(横浜市港南区)
参加:53名 (会員 33名、一般 20名)
今回は湘南記念病院の土井卓子先生をお招きし、ミニレクチャーと質問・相談会を開催しました。キャンセル待ちも出るほどの人気でした。当日は風も強く冷たい雨という悪天候の中でしたが、大勢の方が参加してくださいました。
前半はミニレクチャーとして乳がん治療経験者が長く気をつけたいことについて伺いたいとお願いしたところ、先生は「乳がん患者が 覚えておきたいこと」と題して話してくださいました。
乳がんで命が危険にならないためにはいつ何があっても最善の対応が出来るようにしておくこと、それには自分のがんのことを知り、病理結果、治療歴の記録を取っておくことが大切。自分のがんがどんな状態で、術式は何か、お薬は何をどのくらい使用したのか、どんなリスクが現在あるのか知っておきましょう、そして創部、対側乳房、遠隔転移、その他の病気にいつも気を配りましょう、と仰っていました。なるほど対側乳房にがんが出来たり、15年、20年経って再発することもありますし、転居したり、他のがんや病気になることもあるかもしれません。がんの性質や広がり方は治療の参考になりますし、放射線治療は同じところに照射する限度があり、アンスラサイクリン系薬物は総投与量に比例して心臓に負担がかかり、後になって影響が出ることもあるそうで、記録は重要です。
サブタイプを決めるホルモン受容体やHER2については腫瘍組織のスライドを用いた説明がありました。Ki-67(がんの活動性)、脈管侵襲などについても解説していただき、それぞれに合わせた治療をしているということを分かりやすく知ることができました。
最後に土井先生から「がんになっても私はわたし!強く、美しく、楽しく生きていきましょう!」のメッセージがあり、明るい気持ちになりました。
後半は質問・相談会、治療中はもちろん、初期治療が終わってからもなにかと心配になったり、疑問に感じたりということがあると思います。なんでも結構です、と案内文に書いたところ、約30名の方から手術、治療、そして治療の副作用、検査、食生活や心のケアについてなど50以上の事前質問が届き、似た質問をまとめて、質問リストを作り、回答していただきました。
その回答から少しご紹介します。
リンパ節を取った方にとってリンパ浮腫は何年経っても起こることがある後遺症で、早めにケア・治療することが大切。蜂窩織炎の対応についても説明がありました。リンパ管静脈吻合術(LVA)の治療は改善の可能性が60%、浮腫が出始めてから早い方が改善する可能性が高いそうで覚えておきたいことです。
現在、いろいろと副作用対策が進み、ほとんど嘔吐もなくなっているとのことでしたが、脱毛が問題。脱毛のために仕事の継続に悩んだり、治療を変えたいと聞くこともあります。最近は取り入れている病院もあるという日本製頭皮冷却装置について説明がありました。脱毛を完全に防ぐほどではないけれども脱毛の割合が少なくなり、また回復が早いそうです。先生は頭皮冷却装置使用を保険適用にするよう働きかけていると仰っていましたが、是非保険診療にして欲しいものです。またこの装置で手足のしびれ対策も出来ないか試しているところとのこと。タキサン系の抗がん剤などの副作用のしびれで長く悩んでいる方も多いので、上手くいって欲しいと願います。
先生はどの質問にも分かりやすく、ユーモアも交えて簡潔に答えて下さいました。パワフルな土井先生の言葉で元気が出た、すっきりしたという声も多く、開催して良かったと思いました。土井先生といろいろな質問をして下さった参加者に感謝したいと思います。
あけぼの神奈川 代表 牧野葉子 akebonokanagawa@gmail.com
【参加者からの感想】
ミニレクチャーについて
・自分の治療歴を知っておくこと、病理結果をメモしておくこと、がん患者としての心構えなど大切なことを教えていただきました。
・要点をおさえたご説明で乳がんとの向き合い方がより理解できました。
・今まで漠然としか理解できていなかったが、サブタイプによって一人一人に合った治療法があるということが分かった。
・先生のお話を聞いてイヤイヤだったホルモン療法もがんばろうと思いました。
質問・相談会について
・自分が感じていることを代弁してくれているような質問が多く、先生のお答えが聞けて気持ちが軽くなった気がします。
・ネットで検索しても出てこない質問・相談がありとても参考になりました。がんとの向き合い方、心構えなども強調して発信して下さり、力強い気持ちになりました。
・日頃疑問に思っていた事、不安に思っていたことが解決し気持ちが明るくなりました。
ハッキリとした物言いながらも温かい気持ちが伝わる土井先生が素敵で、こんな先生に診察して欲しいと思いました。
・がんになったことで絶望感が強かったけど前向きに考えて生きていきたいと思いました。