会場の皆さんも壇上の演者先生がたも大いに満足!<br>  時間があっと言う間に過ぎました<br>―――撮影:プロカメラマン 岡本真美さん会場の皆さんも壇上の演者先生がたも大いに満足!
時間があっと言う間に過ぎました
―――撮影:プロカメラマン 岡本真美さん
テーマ、「患者は治して欲しいのです」、それを切実に願っているのは再発患者なのですよね、と切り出した司会のワット会長、最初に会場に何人くらい再発患者がいるか挙手してもらいました。その中の3人に術後何年目に再発をして、再発部位はどこかを聞いて、現在使っている薬や副作用について、話してもらいました。イブランス・フェソロデックス・ベージニオ・アフィニトール・パージェタ・カドサイラ・TS-ワン・ハラベン・アバスチン・ゼローダと、無数の薬名が飛び交う。

術後8年や10年経ってから再発した人もいて、一人はなんと20年も経ってからの再発だった。先生の話では、術後再発までの期間が長ければ長いほど薬が良く効くはずとのことでした。厳しい副作用と闘いながら治療を続けている患者の気持ちを汲みながら、先生がたに的確な質問をビシバシと投げかけるワット会長、抗がん剤の副作用は往々にして患者のQOLを下げるので、その時どう対処するのか、休薬も一つの方法であること、患者と医師の良い関係を築き、よく話し合うことの大切さを強調された。

患者と医師の関係では、「患者は遠慮しないでちゃんと話さないといけないよ」「どうしても合わないなら転院も一つの選択」と医師からの助言があった。場内から〈あけぼのハウス〉の相談会で、顧問医から先生をかえた方がいいと助言されて、かえて良かった、という発言があった。すると会場から、今の主治医が頼りないから、三好先生にかわりたいという人が出てきた。すかさず「先生のどこが悪いの?」、とワット会長。聞いたことにきちんと答えてくれない、とか不満な点をはっきりしてないと先生もかわいそうでしょう。患者は患者なりに自分の病気をきちんと理解していないといけない。そうしないで、ただ漠然と「頼りない」というのはおかしい。理解して医師に対処する、それが医師への礼儀でしょう、とピシッと戒めるワット会長、「さすが」と感心、会場一同納得し反省した場面でした。

三好先生の講演を聞いて自分は遺伝性乳がんではないか?と不安になった人がいた。遺伝子検査をして結果を知ることにはメリット・デメリットがあるので、事前に必ず遺伝子カウンセリングを受けること。十分納得してから遺伝子検査に進む。転移再発で薬を使う治療をする時は遺伝子検査に保険が利く、そうでない時は全額自費。アンジェリーナ・ジョリーさんの例から、日本乳癌学会が予防切除を推奨していることについて、ワット会長が先生方に意見を求める。関東ではそういう考えでやっているところが多いが、兵庫では今のところ三好先生の所で1件症例があるだけ。地方によって温度差がある。

遺伝性乳がんはトリプルネガティブでタチが悪い。再発リスクが高い、再発したら治りにくい、などの理由で先生方は予防切除に賛成だが積極的に進めているわけではなくて情報提供はしている。遺伝性乳がんの遺伝子を持つ人は、卵巣がんにもなりやすい。卵巣がんは早期発見が難しい。だから卵巣・卵管の予防切除も薦めるとのことでした。

35歳で手術、子供がほしいので受精卵を凍結しているという人から、「乳がんになっても子供を産んだ人がいるか」の質問があり、先生方から何人もいるとの回答、【あけぼの兵庫】でも、そういう人がいて、その人の子供さんを‘あけぼのbaby’と呼んでいることを私が紹介して、三好先生が自分の患者さんで凍結受精卵で出産した例があるので希望を持って、と話されて、会場皆でエールを送った。

最後に先生方から「患者に愛のメッセージ」を、とワット会長が頼む。「がんになって辛いこともあるけど、キャンサーギフトもあるのでは」「一日一日を大切にして、生きていることを喜ぶことが大事」と宮内先生。 「乳がんは手術をして元気になっている人が95%くらいいる。再発するかの不安をかかえて過ごすより自信を持って前向きに生きる。今日したいことは今日して楽しく過ごす」と小西先生。「ワットさんの10か条、さすがだなぁと思った。一個一個は今までも言っていたけど、これからは自信を持って患者さんに言おうと思う。再発したら治すのは難しいのは事実だけれども、自分の患者で再発して確実に治ったという人が10人は越えている。これからは、免疫チェックポイント阻害剤やいい薬がどんどん出てきて希望がちょっとずつ増えていっている」と三好先生。(三好先生は、再来年の日本乳癌学会の会長をされます)。   川野紀子(あけぼの兵庫代表) akebonohyogo@gaea.ocn.ne.jp 

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