▲このタイトルは(株)左右社から出た小さくて(17×13㎝)、104ページのかわいい本の長めの題。「26人のがんサバイバー」による短歌の1冊。26人は全員AYA世代(15~39歳)で若く、中には17歳で告知を受けた人、33歳で乳がんステージⅣの人、乳がんだけでなく、子宮頸がん、結腸がんの人もいる。若くしてがん患者になったのだから当然死を強く意識しているのだが、それを直截的には出さず、思いのたぎりを31文字に上手に凝縮させている。恨みっぽくなく、悲壮感もなく、潔い。右ページに歌1首、対面にイラストを入れていて、全部で25枚、このイラストがメルヘンチックで歌と合っていてほのぼのする。
▲「朝日新聞」(2021/4/5)に大きく、また「毎日新聞」(同4/12)にも取り上げられていたのだが、もとはと言えば、あのショパンの遠藤郁子さんからの電話で知った次第。26人の呼びかけ人の尾崎祐子さん(38)が遠藤さんの従妹の娘さんとか、それで、本も送ってくださった。本を見て、今どきの乳がん患者は40年前とは違う、異星人!というのが私の第一感想で、がん直後の思いを短歌に詠むなんて、ちょっと羨ましい気さえした。関心のある方は手にしてみてください。ちなみに歌は歌人の岡野大嗣氏の監修による。同氏のレッスンを受けて歌集に漕ぎつけたこの患者たちは今や立派な歌人と呼ばれるのではないだろうか。
▲歌集より2首
――もうなにもかんがえたくない午前2時死ぬのが怖くて死にたいなんて
――金髪のパンチパーマを揺らしてるおばちゃんくらい生きられたらなあ
▼――こんにちは。いつも「ワットさんの笑って長生き」読んで参考になります。河野裕子さんの「たとえば君」読んで見ました。自分では、こういう本を手に取らないから、自分の世界が、広がった感じで良かったです。――先日、こういううれしいメールをもらいました。私も必死で書いているので、反応があるとホッと慰められます。全国のみなさん、寂しい私にメールをください。
▼さて、上の写真ですが、このボーイ、韓国の朴さんの初孫です。朴さん、覚えていますか?韓国の乳がんのビーナス会の会長さん、何度も日本に会員を連れてきて、楽しい交流会をしましたね。娘、ジェオンちゃんが秋田の田沢湖に嫁いでいて、朴オモニも毎年来ては花を植えたり雪かきしたり働き者、ちょっと有名な韓国オバサンでした。今年はこんな状況なので、来たくても来られない。でも「ワットさんに山菜送ってあげて」と遠隔操作して、先日も山菜がどっさり届きました。蕗のとう、アサツキ、こごみなど。佐渡の田舎で子供のころ食べたので、とても懐かしい。自分でも近所の土手から蕗を取ってきて、ゆでて皮をむいてます。 ワット takakowatt@gmail.com
今日の一首:しわしわの年季入りの手遠き日に むすんでひらいて手を打ったその手
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